ウラジーミル・スーズダリ大公国

ウラジーミル・スーズダリ大公国について

ウラジーミル・スーズダリ大公国は、歴史的に重要なルーシの公国であり、12世紀後半から大公国として存在しました。現在のスーズダリやモスクワ地域を中心に、北東ルーシの辺境地に位置していました。この地域は、当時、勢力の移り変わる中で大きな発展を遂げ、特にウラジーミルがその中心地として栄えました。

歴史の成り立ち

1054年にキエフ大公ヤロスラフ1世が死去した際、その領土は子供たちに分けられました。第四子フセヴォロド1世は南方のペレヤスラヴリをはじめとする地域を獲得し、北東ルーシのヴォルガ上流域において大きな影響力を持つようになりました。1097年には、リューベチで諸公の勢力均衡が決議され、フセヴォロド1世の子孫によってその地位が引き継がれていきます。

その後、北東ルーシはユーリー・ドルゴルーキーによりスーズダリを都とし、さらに彼の子アンドレイ・ボゴリュブスキーは、都をクリャジマ河畔の新都市ウラジーミルに移しました。この移転により、ウラジーミル・スーズダリ大公国の名が広まりました。特にアンドレイの異母弟フセヴォロド3世の時代には権力が強化され、彼は1195年にウラジーミル大公として正式に認められました。

モンゴル侵攻とその影響

1212年にフセヴォロド3世が他界し、彼の子ユーリー2世が後を継ぎましたが、1238年にはモンゴル帝国のバトゥ軍による侵攻が始まります。ユーリー2世は諸公の兵を集めるためにウラジーミルを出発しますが、途中でモンゴル軍に首都を攻撃され、多くの家族が命を落とすという悲劇に見舞われました。

同年のシチ川の戦いでは、ユーリー2世の軍がモンゴル軍に完全に壊滅させられ、彼自身も戦死します。この後、弟ヤロスラフ2世が大公の地位を引き継ぎますが、モンゴル帝国への臣従を強いられることになり、大公国は「タタールのくびき」と呼ばれる時代に突入しました。

アレクサンドル・ネフスキーの台頭

ヤロスラフ2世の子孫アレクサンドル・ネフスキーは、ジョチ・ウルスからの承認を受けつつも、スウェーデン軍やドイツ騎士団と戦い、大公国の権威を拡大します。彼の死後、弟のヤロスラフ3世がその遺志を受け継ぎ、富国強兵に励みました。これにより、ウラジーミル・スーズダリ大公国はさらなる発展を遂げます。

1271年、ヤロスラフ3世の死後、彼の後を継いだヴァーシリーは大公位を引き継ぎ、以降は東方からの影響の下で新たな時代に突入します。やがて、モスクワ公が出てくると、ウラジーミル大公の位はモスクワ大公の位に吸収される結果となります。

歴代大公の名と業績

ウラジーミル・スーズダリ大公国の歴代大公には、アンドレイ1世、ユーリー2世、フセヴォロド3世、アレクサンドル・ネフスキー、ヤロスラフ3世などがいます。彼らはそれぞれの時代において、内外の課題に立ち向かい、大公国を繁栄させました。特にアレクサンドル・ネフスキーは、名将として知られ、大国の発展に寄与しました。

最終的に、ウラジーミル・スーズダリ大公国の歴史は、モスクワ大公国への発展へとつながり、ロシア史の中で重要な役割を果たすことになります。この歴史の中で、北東ルーシの文化や経済は急速に成長し、後のロシアの基盤を築くことになります。

もう一度検索