ウリヤンカダイ

ウリヤンカダイ：モンゴル帝国を支えた名将

ウリヤンカダイ（1200年 - 1271年）は、モンゴル帝国の将軍で、スベエデイの息子として生まれました。彼は、金朝遠征、ヨーロッパ遠征、雲南・大理遠征など、数々の重要な戦役で活躍し、帝国の拡大に大きく貢献しました。その生涯は、まさにモンゴル帝国の隆盛を象徴するものと言えるでしょう。

若き日の活躍

ウリヤンカダイは、オゴデイの治世下で行われた金朝遠征において、その才能を早くから発揮しました。1233年、遼東を領有していた大真国の蒲鮮万奴討伐戦で、グユクに扈従し、その軍を破るという功績を上げました。この戦いを皮切りに、ウリヤンカダイは数々の戦場でその名を轟かせることになります。

ヨーロッパ遠征

1236年からのバトゥの西方遠征にも参加し、ポーランド王国への攻撃など、東欧での作戦に従事しました。この遠征は、モンゴル帝国の勢力をヨーロッパにまで拡大する上で重要な役割を果たしました。ウリヤンカダイは、この遠征を通じて、ヨーロッパの地勢や戦術を学び、その後の戦いに活かしたと考えられます。

帝位継承への関与

1248年にグユクが亡くなると、帝位継承問題が発生しました。ウリヤンカダイは、ジョチ家やトルイ家の王族たちと共に、モンケの推戴を主張し、その擁立に尽力しました。この帝位継承戦争は、モンゴル帝国の内紛を招き、その後の帝国の分裂の遠因となりましたが、ウリヤンカダイは、クビライを支持し、その勢力拡大に貢献しました。

雲南・大理遠征

1251年にモンケが第4代皇帝に即位すると、ウリヤンカダイは、南宋遠征の一環として、雲南・大理遠征を命じられました。クビライの右翼軍の宿将として、息子のアジュと共にこの遠征に参加し、大理国を降伏させるという大きな功績を上げました。この遠征によって、モンゴル帝国は、雲南地方を勢力下に収め、南宋への圧力を強めることに成功しました。

元越戦争と南宋遠征

1257年には、さらに南下して陳朝大越国（ベトナム）に侵攻し、首都である大羅城を包囲してこれを服属させました。その後、北上して南宋を攻め、湖南方面から首都臨安に迫る勢いを見せました。しかし、1259年にモンケが陣没したため、モンゴル軍は撤退を余儀なくされました。

晩年

モンケの死後、ウリヤンカダイは、クビライを支持し、その即位を助けました。その後は、1262年の李璮の乱鎮圧に息子のアジュを派遣するなど、後方支援に回ることが多くなりました。1271年、71歳でその生涯を閉じました。

子孫

ウリヤンカダイの子孫は、代々モンゴル帝国の要職を歴任し、その勢力を維持しました。特に、息子のアジュは、南宋遠征で大きな功績を上げ、帝国の発展に貢献しました。

ウリヤンカダイは、軍事的な才能だけでなく、政治的な手腕にも長けており、帝位継承問題など、帝国の重要な局面でその存在感を示しました。彼の生涯は、モンゴル帝国の拡大と繁栄の歴史そのものと言えるでしょう。

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