ウルトラナショナリズム

ウルトラナショナリズムとは

ウルトラナショナリズム（英: Ultranationalism）は、自国または特定民族の利益を最優先し、他を排除する極端なナショナリズムを指します。この概念は英語から引用され、日本語では「超国家主義」と訳されることが一般的ですが、同じ訳語が国家を超越した国際機関に主権を委譲する思想に対して用いられる場合もあり、この点が誤解を招くことがあります。したがって、本記事では「ウルトラナショナリズム」という表現を使用します。

概要と特徴

ウルトラナショナリズムは、国家の復興や再生という概念（Palingenesis）と結びつくことで、ファシズムの土台ともなり得る極右の政治思想です。一部の国においては、この思想を持つ団体がテロリズムに関与しているとして法的措置が取られることもあります。

著名な思想家ヤヌシュ・ブガジスキは、ウルトラナショナリズムが最も極端な形態でファシズムに似ており、特徴として外国人に対する敵意、全体主義的な権威主義、カリスマ的な指導者、さらには政党に依存しない「有機的統一」という考えが挙げられると述べています。このような特性が、ウルトラナショナリズムの根源的なイデオロギーを形成しています。

ロジャー・グリフィンによると、ウルトラナショナリズムは本質的には「外国人嫌悪」に基づいており、自国や民族の歴史を美化した神話的な物語を通じて自己正当化が行われる特徴があります。さらに、優生学や遺伝学といった疑似科学を利用し、自国の優越性や使命を合理化することもあります。これにより、他国や民族に対する排除的な態度が強まる恐れがあります。

ウルトラナショナリストの組織

政党

ウルトラナショナリズムを顕著に体現する政党は、立法府に代表を送ることなく活動している点が特徴です。過去には以下の政党が存在しました。

• - ギリシャ: 黄金の夜明け

政治団体

日本やロシアなどでは、多くの政治団体がウルトラナショナリズムの理念を推進しています。具体的には以下のような団体があります：

• - 日本: 日本会議、在日特権を許さない市民の会、国家社会主義日本労働者党、維新政党・新風、幸福実現党、日本第一党
• - ロシア: ルシッチ、ロシア帝国運動、スパルタ大隊、ソマリア大隊、ワグネル・グループ
• - トルコ: 灰色の狼
• - イギリス: イングランド防衛同盟

また、第二次世界大戦後には連合国軍最高司令部によって、いくつかの団体（大日本一新会、大日本興亜連盟、言論報国会など）が超国家主義団体と見なされ解散させられました（1946年）。

まとめ

ウルトラナショナリズムは、極端な民族主義的観点から自国の利益を追求し、時に暴力的な手段を講じることもある問題のある思想です。政治運動としてのその変遷は、各国の政治状況に応じて異なり、現在でも多くの国で関連団体が活動を続けているのが現状です。ウルトラナショナリズムは、民主主義や国際的な協力の精神に対する挑戦でもあるため、その動向には常に注視が必要です。

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