ソマリア大隊

ソマリア大隊：ドンバスの分離主義勢力

ソマリア大隊は、ウクライナ東部の自称「ドネツク人民共和国」が擁する分離主義者の軍事部隊です。2014年のドンバス戦争勃発以来、ウクライナ軍と激しい戦闘を繰り広げてきました。2022年のロシアによるウクライナ侵攻にも参加し、マリウポリ包囲戦などでその存在が知られています。

正式名称は「第1独立戦車大隊ソマリア」で、以前は「第1独立大隊戦術群ソマリア」と呼ばれていました。この部隊が「ソマリア」という名を与えられた理由は、初代司令官ミハイル・トルスティフ（通称ギビ）によると、そのメンバーがソマリア人のように勇敢で恐れを知らないからだと言われています。ギビは、大隊の約70％が以前に第1スラビャンスク旅団で戦っていたと述べています。

現在、大隊はドネツィクとマキイフカに駐屯しており、指揮官はティムール・クリルキンが務めています。

歴史：ドンバス戦争からウクライナ侵攻へ

ソマリア大隊は2014年に結成され、ドンバス戦争に参加しました。当初はドネツク人民共和国国防省の特別任務部隊として活動していましたが、2015年にはドネツク人民共和国とルハンシク人民共和国の両軍がウクライナ最高裁判所によってテロ組織に指定されました。そのため、ウクライナ保安庁は部隊メンバーを拘束するために追跡を続けています。

2017年2月には、当時部隊の指揮官だったミハイル・トルスティフ（ギビ）が、自身のオフィスでRPOロケットランチャーによる攻撃を受け暗殺されました。この暗殺事件については、ギビがマレーシア航空17便撃墜事件の真相を知っていたために味方によって殺害されたとする説や、ウクライナ軍による犯行説など、さまざまな憶測が飛び交いました。

2022年のロシアによるウクライナ侵攻では、ソマリア大隊はロシア軍と共にマリウポリ包囲戦に参加しました。同年4月、ドネツク人民共和国の指導者であるデニス・プシーリンは、マリウポリでの戦闘における功績を称え、司令官のティムール・クリルキン中佐とローマン・ボロビョフ上級大尉にメダルを授与しました。プシーリンは、彼らが率いる部隊が250人以上のウクライナ兵を殺害したと主張しましたが、メディアはボロビョフ自身がネオナチに関連するパッチ（バルクナットとトーテンコップ）を着用していることを指摘しました。

装備

ソマリア大隊は、T-64やT-72戦車、BMP-1、BTR-70、MT-LB、BRDM-2などの装甲戦闘車両を保有しており、その他にも支援砲兵、迫撃砲、輸送車両などの装備を有しています。これらの装備は、大隊が激しい戦闘を行う上で重要な役割を果たしています。

関連項目

プリズラーク大隊
スパルタ大隊

ソマリア大隊は、ドンバス戦争とロシアによるウクライナ侵攻において、数々の戦闘に参加してきた分離主義勢力の中核部隊の一つです。その勇敢な戦いぶりと同時に、物議を醸す行動も報じられており、その活動は依然として注目されています。

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