ウンディーナ (チャイコフスキー)

ウンディーナ（チャイコフスキー）

『ウンディーナ』（ロシア語: Ундина）は、ピョートル・チャイコフスキーが1869年に作曲した全3幕のオペラです。しかし、チャイコフスキー自身が楽譜を破棄してしまったため、全曲が演奏されることはなく、現在では一部の楽曲のみが現存しています。

概要

作曲: ピョートル・チャイコフスキー
リブレット: ウラディーミル・ソログープ（ヴァシーリー・ジュコーフスキー訳のフリードリヒ・フーケの小説『ウンディーネ』に基づく）
作曲時期: 1869年1月から7月
構成: 全3幕

歴史

チャイコフスキーは1869年にこのオペラを作曲しましたが、1873年に楽譜を破棄してしまいました。そのため、全曲が演奏されることはなく、今日まで残されているのは以下の楽曲のみです。

序曲
ウンディーナのアリア「滝、私のおじ、小川、私の兄弟」
合唱「助けて、助けて！私たちの流れは荒れています」
ウンディーナとフルトブラントの二重唱「おお幸せよ、おお祝福された時よ」
合唱「おお死の時よ」

これらのうち、アリア、二重唱、最後の合唱は、1870年3月28日にモスクワのボリショイ劇場で初演されました。

他作品への転用

『ウンディーナ』の楽曲の一部は、チャイコフスキーの他の作品に再利用されています。

第3幕の結婚行進曲 → 交響曲第2番の第2楽章
序曲 → オストロフスキーの『雪娘』への付随音楽の序曲
ウンディーナのアリア → 『雪娘』のレルの最初の歌（若干の改訂あり）
二重唱 → バレエ音楽『白鳥の湖』のジークフリートとオデットのデュエット（No. 13-V）。声楽部分はチェロとヴァイオリンの独奏に置き換えられました。

これらの転用は、チャイコフスキーが自身の作品をいかに大切にし、再利用していたかを示しています。

配役

配役に関する詳細な情報は、現存する資料が限られているため、不明な点が多いです。

楽器編成

ピッコロ
フルート2
オーボエ2
クラリネット2（B♭）
ファゴット2
ホルン4（F）
トランペット2（B♭）
トロンボーン2
テューバ
ティンパニ
トライアングル
シンバル
大太鼓
ハープ
ピアノ
弦五部

この編成から、チャイコフスキーが壮大で豊かな響きを目指していたことがわかります。

舞台設定

時代: 15世紀
場所: ドイツ、ドナウ川の近く、リングシュテッテン城

外部リンク

ウンディーナの楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)
Tchaikovsky Research
ウンディーナ - オールミュージック

まとめ

チャイコフスキーの『ウンディーナ』は、幻のオペラとして知られていますが、現存する楽曲や他作品への転用を通して、その一部に触れることができます。未完ではあるものの、チャイコフスキーの才能を垣間見ることができる貴重な作品と言えるでしょう。

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