エア・リース・コーポレーション

エア・リース・コーポレーション（Air Lease Corporation、略称ALC）は、2010年にアメリカ合衆国で設立された、世界的に事業を展開する航空機リース会社である。

その主な事業は、ボーイング、エアバス、エンブラエル、ATRといった主要な航空機製造会社から最新の航空機を直接購入し、それらを世界各国の航空会社へ長期的にリースすることにある。このビジネスモデルにより、航空会社は多額の初期投資なしに最新鋭の機材を導入することが可能となる。

2024年3月現在、ALCは相当数の航空機を保有し、リース事業を展開している。具体的には、狭胴型（ナローボディ機）を354機、広胴型（ワイドボディ機）を118機、合計472機が同社の保有機として稼働またはリース契約下にある。さらに、将来的な機材計画として、既に320機もの航空機がメーカーに対して発注済みであり、今後の事業拡大を見込んでいる。

ALCの設立には、航空機リース業界における伝説的人物であるスティーブン・ウドバー・ハジー氏が深く関わっている。彼は、かつて航空機リース業界の巨人であったインターナショナル・リース・ファイナンス・コーポレーション（ILFC）の創業者であり、同社を成功に導いた立役者であった。ILFCは1990年にアメリカン・インターナショナル・グループ（AIG）に売却された後も、ハジー氏は最高経営責任者（CEO）として手腕を発揮し続けた。しかし、2010年にILFCを離れ、新たな挑戦としてエア・リース・コーポレーションを立ち上げたのである。これは、彼が再び航空機リース市場で独自の事業を展開しようとする強い意思の表れであった。

ALCは積極的に機材ポートフォリオの拡充を図っており、大手航空会社との契約実績も豊富である。その一例として、2019年のパリ航空ショーにおける動向が挙げられる。この展示会では、ヴァージンアトランティック航空が最大20機のエアバスA330-900型機を導入する契約を発表したが、これは同型機の英国における最初の顧客となるものであった。この契約のうち、8機はエアバス社から直接購入される一方、残りの6機はエア・リース・コーポレーションから提供されることになった。これはALCが航空会社の機材導入において重要な役割を果たしていることを示している。

また、同じく2019年のパリ航空ショーにおいて、ALC自身も将来のリース需要に応えるための大規模な機材発注や購入意向を示した。具体的には、航続距離延長型の新型機であるエアバスA321XLRを29機確定契約し、さらに短距離・中距離路線向けのエアバスA220-300を50機購入する意向書に署名した。これらの契約は、ALCが最新鋭機の導入に積極的であり、多様なニーズを持つ世界の航空会社に対して、効率的かつ環境性能に優れた機材を提供していく姿勢を明確に示している。

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