エウゲニウス4世 (ローマ教皇)

エウゲニウス4世の生涯と業績

エウゲニウス4世（本名：ガブリエッロ・コンドゥルマーロ）は、1383年にヴェネツィアで生まれ、1447年にその生涯を閉じたローマ教皇です。彼は1431年から1447年まで教皇として在位し、特にバーゼル公会議において大きな影響を与えました。その生涯は、さまざまな宗教的・政治的事件に彩られています。

幼少期と出世の道

エウゲニウス4世は裕福な商人の家に生まれました。彼の伯父は教皇グレゴリウス12世、そして甥にあたる教皇はパウルス2世です。1407年にはシエナ司教に任命され、翌年の1408年には枢機卿に昇進しました。このような教会内での地位向上は、伯父の支援によるものでした。その後、エウゲニウスはコンスタンツ公会議に参加し、新たに選出されたマルティヌス5世に仕えることとなります。

教皇としての活動

エウゲニウス4世は1431年、マルティヌス5世の死後に教皇に選出されました。彼は当時抱えていた数々の難題に取り組む必要がありました。特に、百年戦争の真っただ中にあったフランスとイングランド・ブルゴーニュとの和解問題は、教皇使節ニッコロ・アルベルガティに任せる形で処理されました。

また、ボヘミアのフス戦争も彼の統治下で終息に向かい、フス派の内部分裂が穏健派の勝利をもたらしました。1436年に教皇はその結果を承認し、事実上の終結を迎えました。

同年、バーゼルでの公会議が開催され、教皇と公会議主義者たちの間での対立が繰り広げられました。ローマ王ジギスムントの仲介により決裂は回避され、彼は1433年に神聖ローマ皇帝として戴冠されました。この間、エウゲニウス4世はローマの都市復興にも尽力し、ラ・サピエンツァ大学の再建やインフラの改修などを行いました。

公会議と対立

1438年には、東ローマ帝国の皇帝ヨハネス8世がオスマン帝国の脅威に立ち向かうために教皇への支援を申し出ました。この背景を受け、エウゲニウス4世は公会議をイタリアのフェラーラに移し、東方教会との合同を目指しました。しかし、バーゼルに残る公会議主義者たちとの対立が激化し、最終的にサヴォイア公アメデーオ8世が教皇に選出されたため、彼の地位は脅かされることとなりました。

フェラーラでの公会議中、疫病が流行したこともあり、会議はフィレンツェに移され、『フィレンツェ公会議』が開催されます。この公会議で東西教会の合同が宣言され、教皇の首位説も確認されました。ただし、この合意は多くの問題を抱えており、コジモ・イル・ヴェッキオがスフォルツァ家と結んだことで教皇との関係が悪化し、その後、教皇権に対する挑戦も見られました。

奴隷化反対運動

エウゲニウス4世は1435年、フィレンツェで教皇勅書「シクト・ドゥドゥム」を公布しました。この勅書は、カナリア諸島全体の先住民を奴隷化することを禁止するもので、彼の社会的正義への関心を示していました。

外交的失敗と最期

教皇の在位中には、外交面での失敗も散見されました。例えば、フランス王シャルル7世との対立や、十字軍への期待が裏切られたことなどがありました。1444年にはヴァルナの戦いで敗北を喫し、壊滅的な損失を被りました。1447年、エウゲニウス4世はその生涯を閉じました。

エウゲニウス4世は、彼の時代における教会の影響力を強化しようと努力した教皇であり、彼の業績は今日においても広く語り継がれています。

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