エゾユズリハ

エゾユズリハ（蝦夷楪・蝦夷譲葉）

エゾユズリハ（学名: Daphniphyllum macropodum subsp. humile）は、ユズリハ科ユズリハ属に分類される常緑低木です。本州の日本海側の多雪地帯に適応したユズリハの亜種として知られています。

特徴

エゾユズリハは雌雄異株であり、高さは1 - 3メートルほどに成長します。枝には粘り気があり、積雪による負荷を受けてもしなやかに曲がり、折れにくい性質を持ちます。幹は根元からよく分枝し、樹皮は赤褐色を帯び、浅い縦筋とまばらな皮目が見られます。若い枝は緑色で滑らかで、落葉後の葉痕がはっきりと残ります。

葉は枝に互い違いに生え、3 - 5 cmの葉柄を持ちます。葉の形は楕円形から倒卵状長楕円形で、大きさは9 - 20 cm、幅は5 - 6 cm程度です。葉の先端は短く尖り、基部は円形またはくさび形をしています。ユズリハと比較するとやや小さく、葉質は薄いのが特徴です。葉の縁は滑らかな全縁で、表面には光沢があり、裏面はわずかに緑白色を帯びています。

花期は5 - 6月で、花には花被がありません。葉の付け根から総状花序を出し、目立たない花を咲かせます。果実は10 - 11月に熟し、長い果柄を持つ卵形の果実をつけます。

冬芽は卵形で、赤みを帯びています。

分布と生育環境

エゾユズリハは、北海道から本州の中部地方以北の日本海側に分布しています。多雪地帯の林床に自生し、特にブナ林などの林床で、ユキツバキ、ヒメモチ、ヒメアオキ、ツルシキミ、ハイイヌガヤといった日本海要素を持つ常緑性の地這植物と共に見られることが多いです。

近縁種

ユズリハ (Daphniphyllum macropodum)
ヒメユズリハ (Daphniphyllum teijsmannii)

参考文献

鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽：四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、216頁。ISBN 978-4-416-61438-9。
佐竹義輔ほか 編『日本の野生植物 木本Ⅰ』平凡社、1989年。
* 福嶋司・岩瀬徹 編著『図説 日本の植生』朝倉書店、2005年。

もう一度検索