エトヴェシュ・ロラーンド大学

エトヴェシュ・ロラーンド大学：ハンガリーの伝統と革新を誇る名門大学

エトヴェシュ・ロラーンド大学（Eötvös Loránd Tudományegyetem, ELTE）は、ハンガリーの首都ブダペストに位置する、国内有数の規模と歴史を誇る総合大学です。略称のELTE（エルテ）で広く知られており、約28,000人の学生が学んでいます。ハンガリー国内ではデブレツェン大学に次ぐ規模を誇り、ブダペスト大学と呼ばれることもあります。

歴史ある伝統と変遷

ELTEの起源は1635年に遡ります。当時、ナジソンバト（現在のスロバキア）で、大司教パーズマーニ・ペーテルによって設立されたイエズス会系の大学でした。当初は人文学部と神学部のみでしたが、その後、法学部（1667年）と医学部（1769年）が設置され、徐々に規模を拡大していきました。

イエズス会解体後、マリア・テレジアの支援を受け、ブダの王宮に移転（1777年）、最終的にはペシュトに移転（1784年）しました。その後、ペシュト王立大学、ブダペスト大学を経て、1921年には創設者パーズマーニ・ペーテルの名を冠した「パーズマーニ・ペーテル大学」となりました。そして、1950年、物理学者のエトヴェシュ・ロラーンドにちなんで現在の名称に変更されました。なお、パーズマーニ・ペーテルの名を冠した別のカトリック大学（Pázmány Péter Katolikus Egyetem）が存在することに注意が必要です。

教育言語は、1844年にハンガリー語が公用語となるまではラテン語でした。1895年には女性が大学に入学できるようになり、1949年には理学部が設置されました。

輝かしい卒業生と高い評価

ELTEは、数々の著名な卒業生を輩出しています。ノーベル賞受賞者であるジョン・ハーサニ、ジョン・フォン・ノイマン、セント＝ジェルジ・アルベルト、ゲオルク・ド・ヘヴェシー、ベーケーシ・ジェルジなど、各分野で世界的に活躍した人材が名を連ねています。その他にも、作曲家のコダーイ・ゾルターン、物理学者のフィリップ・レーナルト、ハンガリー独立運動の指導者コッシュト・ラヨシュなどもELTE出身です。

現在、ELTEは国内大学ランキングで常に上位を維持しており、特に人文学部と理学部は高い評価を得ています。2018年の上海ランキングでは、501-600位にランクインしました。

多様な学部と充実した教育体制

ELTEは8つの学部からなり、多様な分野を網羅した幅広い教育プログラムを提供しています。学士課程では45の専攻、修士課程では101の専攻、博士課程では16の専攻（126のプログラム）が用意されています。国内で最も人気のある大学の1つであり、2017年には受験者の5人に1人がELTEを志望していました。

まとめ

エトヴェシュ・ロラーンド大学は、400年近い歴史と伝統を誇るハンガリーの最高峰の大学です。質の高い教育、充実した研究環境、そして数々のノーベル賞受賞者を含む著名な卒業生を輩出してきた実績は、その高い教育水準を示しています。今後もハンガリー、ひいては世界の進歩に貢献する人材育成の中核を担っていくことでしょう。

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