エドマンド (初代ランカスター伯)

初代ランカスター伯爵エドマンド

初代ランカスター伯爵エドマンド（1245年1月16日 - 1296年6月5日）は、イングランド王ヘンリー3世の次男として生まれました。兄にエドワード1世がおり、ランカスター家の祖として知られています。また、「クラウチバック」という異名でも呼ばれていました。

生涯

1254年、父ヘンリー3世はローマ教皇の意向を受け、エドマンドをシチリア王に即位させようとしました。しかし、シチリア王位継承戦争に多額の資金が必要となり、その負担への不満が1258年のオックスフォード議会で改革派諸侯によるオックスフォード条項要求の一因となりました。結局、エドマンドがシチリア王として君臨することはなく、1263年に退位を宣言しました。

1265年、第2次バロン戦争で敗北した第6代レスター伯シモン・ド・モンフォールのレスター伯領を与えられ、レスター伯爵位を受けました。さらに、レスター伯の盟友であった第6代ダービー伯ロバート・ド・フェラーズのダービー伯領も獲得しました。1267年6月30日には、イングランド北西部のランカスター地域に広大な所領を与えられ、ランカスター伯爵に叙されました。これがランカスター家の始まりです。また、フランスのシャンパーニュ伯領も獲得し、その所領はダービー、スタッフォード、レスター、ノーサンプトン、トレント峡谷地域を中心に、ランカシャーからヨークシャー沿岸、南ウェールズからスコットランド国境地帯にまで及ぶ広大なものでした。

1277年と1282年には、兄王エドワード1世に従いウェールズ侵攻に従軍しました。1286年から1289年の兄王不在時には摂政としてウェールズの反乱鎮圧にあたりました。1296年6月5日、ガスコーニュでの従軍中にバイヨンヌで亡くなり、爵位と所領は長男のトマスが継承しました。

「クラウチバック」という異名は「猫背」を意味しますが、実際に猫背だったわけではありません。1271年に兄エドワードとともに第8回十字軍に参加した際、背に十字架を背負ったことに由来すると言われています。

家族

1269年にオマール女伯爵アヴリーヌと結婚しましたが、子供はいませんでした。1276年にはフランス王ルイ9世の弟であるアルトワ伯ロベール1世の娘ブランシュと再婚し、彼女との間に3男1女を儲けました。

トマス（1277年頃 - 1322年）：第2代ランカスター伯。バラブリッジの戦いを起こして処刑されました。
ヘンリー（1281年 - 1345年）：第3代ランカスター伯。
ジョン（1286年 - 1327年）：初代ボーフォート男爵。
メアリー（生没年不詳）

参考文献

青山吉信 編『イギリス史〈1〉先史〜中世』山川出版社〈世界歴史大系〉、1991年。ISBN 978-4634460102。
尾野比左夫『バラ戦争の研究』近代文芸社、1992年。ISBN 978-4773311747。
松村赳、富田虎男『英米史辞典』研究社、2000年。ISBN 978-4767430478。
森護『英国王室史事典-Historical encyclopaedia of Royal Britain-』大修館書店、1994年。ISBN 978-4469012408。

外部リンク

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