エドムンド・リベロ

エドムンド・リベロ：タンゴ界の伝説

エドムンド・リベロ（Edmundo Rivero, 1911年6月8日 - 1986年1月18日）は、アルゼンチンのタンゴ歌手、ギタリストであり、作曲家としても才能を発揮しました。彼の音楽は、アルゼンチンだけでなく世界中のタンゴファンを魅了し続けています。

生い立ちと音楽への目覚め

1911年、ブエノスアイレス近郊のラヌスで生まれたリベロは、幼少期にベルグラーノに移り住みます。ベルグラーノ音楽院でクラシック音楽の理論、ギター、そして歌唱を学び、その基礎を築きました。この頃に培われたクラシック音楽の素養は、彼の独特な歌唱スタイルに影響を与えたと言われています。

タンゴ歌手としての飛躍

1930年代前半に歌手としてデビュー後、1935年にはフリオ・デ・カロ楽団で歌唱を担当します。しかし、彼の名声を決定づけたのは、1944年にオラシオ・サルガンの楽団、そして1947年にアニバル・トロイロ楽団に加入したことでした。トロイロ楽団での活躍は、リベロをタンゴ界のトップスターへと押し上げました。特に、1948年に発表された『スール』（Sur）は、彼の代表作として広く知られています。また、『最後の酔い』の録音も高い評価を受けています。

多才な音楽家

リベロは、歌手としてだけでなく、作曲家、ギタリストとしても才能を発揮しました。自らオリジナルタンゴを作曲し、ギター伴奏も担当しました。彼の作曲したタンゴの中には、日本のタンゴ愛好家、目賀田綱美をモデルにした『ア・ロ・メガタ』という曲も存在します。これは、彼が国際的な文化交流にも貢献していたことを示すエピソードと言えるでしょう。

タンゲリア「エル・ビエホ・アルマセン」の開店

1969年5月9日、リベロはピアニストのカルロス・ガルシアと共に、タンゴの生演奏が楽しめる店『エル・ビエホ・アルマセン』（El Viejo Almacén）を開店します。古い倉庫を改装した店内は、タンゴの雰囲気を存分に味わえる空間として、世界中のタンゴファンに愛されました。1970年代には、日本大使館での演奏も行い、国際的な舞台でも活躍しました。一時休業期間があったものの、『エル・ビエホ・アルマセン』は現在も営業を続けており、タンゴ文化の発信地としての役割を果たしています。

その後

1986年、75歳でその生涯を閉じましたが、彼の音楽は今もなお、多くの人々に愛され続けています。YouTubeなどの動画サイトでも、エドムンド・リベロの貴重な音源を聴くことができます。

エドムンド・リベロは、タンゴの歴史に名を刻む偉大な音楽家です。その歌声と音楽は、時代を超えて、私たちの心に響き続けるでしょう。

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