エドワード・プランタジネット (第17代ウォリック伯爵)

ウォリック伯エドワード・プランタジネット。その名は、イングランド王位継承争いの渦中で儚く散った一人の青年の物語を象徴しています。1475年、クラレンス公ジョージとイザベル・ネヴィルの子として生まれた彼は、父が反逆の罪で処刑された後、わずか3歳でウォリック伯の爵位を継承しました。

彼の血筋は、イングランド王位継承において重要な意味を持っていました。父方の祖父はヨーク公リチャード、母方の祖父は「キングメーカー」として知られるウォリック伯リチャード・ネヴィルです。まさにヨーク朝を支えた名家の血を受け継いでいたと言えるでしょう。そのため、エドワードは幼少期から王位継承権を有する存在として注目を集めました。

1483年、従兄のエドワード5世が即位しますが、まもなくリチャード3世が王位を奪取します。リチャード3世は、エドワード5世を廃位し、自らが王位に就くと、甥にあたるエドワードを王位継承者と指名しました。これは、リチャード3世の王妃アン・ネヴィル（エドワードの母方の叔母）の強い影響があったと考えられています。アン王妃は、両親を亡くしたエドワードと姉を養育しており、彼らを深く愛していたとされています。

しかし、この状況は長くは続きませんでした。アン王妃の死後、リチャード3世は、姉の息子であるリンカーン伯ジョン・ド・ラ・ポールを新たな王位継承者に指名します。これは、失意の王妃を慰めるための、一時的な措置だった可能性が高いでしょう。

その後、1485年、リチャード3世はヘンリー7世に敗れ、エドワードはロンドン塔に幽閉されます。ヘンリー7世の支配はまだ不安定であり、ヨーク朝の血を引くエドワードは、潜在的な脅威とみなされたのです。特に、1487年にランバート・シムネルがエドワードを名乗り反乱を起こすと、エドワードの監禁はさらに厳しくなりました。

興味深いことに、多くの歴史家はエドワードを知恵遅れであったと記しています。この説の根拠は、歴史家エドワード・ホールの記述に基づいています。ホールは、「長年の監禁生活で人間や動物との接触が絶たれたため、エドワードはガチョウと鶏を区別することもできなかった」と記しています。この記述の信憑性については議論の余地がありますが、エドワードの監禁生活が彼の精神状態に深刻な影響を与えたことは想像に難くありません。

1490年、エドワードは父親の反逆罪にも関わらず、ウォリック伯の称号を認められます。しかし、それはロンドン塔での監禁生活が続くことを意味していました。そして1499年、ヘンリー7世への反乱に加わったパーキン・ウォーベックもロンドン塔に投獄されます。エドワードとウォーベックは脱獄を企てますが、失敗に終わり、反逆罪で処刑されました。

エドワードの死は、プランタジネット家の男子の断絶を意味しました。その後、姉のマーガレットも処刑され、この名門一族は歴史の表舞台から完全に姿を消すこととなります。ウォリック伯エドワード・プランタジネットの生涯は、王位継承争いの残酷さと、権力闘争に巻き込まれた一人の青年の悲劇的な運命を物語る、痛ましい歴史の一ページと言えるでしょう。

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