エフエムしながわ

株式会社エフエムしながわは、東京都品川区の一部地域を主な放送対象とする超短波放送（FM放送）を行う特定地上基幹放送事業者です。一般には「エフエムしながわ」「FM SHINAGAWA」、または周波数を冠した「FM SHINAGAWA 88.9MHz」の愛称で親しまれています。

設立と背景

エフエムしながわは、品川区における地域情報発信力強化の一環として設立されました。品川区は、既存のインフラを持つケーブルテレビ品川と協力する形でコミュニティ放送局の開設を計画し、2018年度（平成30年度）に開局に向けた予算を計上しました。これに基づき、2019年（平成31年）2月に放送免許取得主体となる株式会社エフエムしながわが設立されました。そして、同年6月1日に本放送を開始しています。

放送施設

本社機能と番組制作の拠点となる演奏所（スタジオ）は、品川区戸越にあるケーブルテレビ品川の社内に設けられており、同社の設備を活用しています。一方、実際の電波を送信する送信所は、品川区西品川に位置するファミーユ下神明の屋上に設置されています。特定地上基幹放送局としては、呼出符号「JOZZ3CR-FM」、呼出名称「エフエムしながわ」が割り当てられており、周波数88.9MHz、空中線電力20Wで送信を行っています。

放送区域と聴取範囲

放送免許で定められた放送区域は、品川区および大田区のそれぞれ一部地域ですが、サービス提供エリアとしては東京都品川区全域を掲げています。物理的な電波の到達範囲としては、東京都23区の大部分に加え、神奈川県東部や千葉県浦安周辺まで広範囲で聴取可能とされています。

配信方法

ラジオ受信機による放送に加え、ケーブルテレビ品川の回線を利用した同周波数での再送信も実施しています。さらに、インターネットを介したリアルタイム配信としては、全国のコミュニティFM局が参加するJCBAインターネットサイマルラジオを通じて番組を楽しむことができます。

株主構成

株式会社エフエムしながわの株主は、設立の背景ともなったケーブルテレビ品川と品川区のほか、10社の企業・団体から構成されています。特に、出資比率の面から、ケーブルテレビ品川および品川区はマスメディア集中排除原則における「支配関係」に該当する重要な株主となっています。

番組編成

番組編成には特徴があり、放送時間の大部分（2021年9月時点では番組編成全体の約8割）は、東急グループ傘下で神奈川県横浜市青葉区を拠点とするコミュニティ放送局「FMサルース」の番組を同時に放送するサイマル放送となっています。FMサルースの番組を放送する際には、「ここからの時間はFMサルースの番組をお楽しみください」といったアナウンスを挿入して切り替えます。時報はありませんが、毎正時には局のステーションIDが放送されます。残りの時間帯には、地域に密着した独自の番組が制作・放送されており、品川区のローカル情報や文化、防災情報などを発信しています。

過去には「Dream Selection木曜日」（2019年10月～2021年5月）のような終了した独自番組も存在します。

沿革

2019年2月24日：株式会社エフエムしながわ設立。
2019年4月10日：特定地上基幹放送局の予備免許を取得。
2019年4月22日：試験電波の発射を開始。
2019年5月23日：特定地上基幹放送局の免許を取得。
2019年6月1日：正午に開局。開局特別番組などを放送開始し、JCBAインターネットサイマルラジオでの配信も同時に開始。
2019年7月24日：区内4警察署から、番組を通じた情報発信に関する協力依頼を受ける。
2019年12月7日：区内一斉防災訓練に合わせ、区役所内に設けられた臨時スタジオから緊急放送訓練を生放送で実施。
2019年12月16日：ケーブルテレビ品川での同時再送信を開始。
* 2020年12月13日：区内一斉防災訓練において、区役所臨時スタジオからケーブルテレビ品川と連携したラジオ生放送での緊急放送訓練を実施。

地域に根差した情報発信と防災機能の担い手として、エフエムしながわは活動を続けています。

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