エペリゾン

エペリゾン（Eperisone）

エペリゾンは、筋肉のけいれんや緊張を和らげる鎮痙剤として広く利用されています。この薬には、神経を沈静化させることで筋肉の凝りを軽減し、痛みを緩和する働きがあります。また、血管を弛緩させ、血流を改善する効果も備わっており、特に脳血管障害や外傷後の遺症管理に役立つことが多いです。

製剤と販売

エペリゾンは塩酸塩とし製剤化され、日本を含むバングラデシュ、中国、インド、インドネシア、アラブ首長国連邦、マレーシア、フィリピン、タイで、特に「ミオナール（Myonal）」という名称で市販されています。日本国内ではエーザイが販売を担い、さらに複数の製薬会社から後発品も提供されています。

主な効果と効能

この薬剤は、中枢神経系と血管平滑筋の両方に影響を与え、骨格筋の痛みを和らげ、虚血を改善するとともに、筋緊張を軽減することに寄与します。具体的な適応症には、以下のような状態が含まれます。

• - 頸肩腕症候群
• - 肩関節周囲炎（五十肩等）
• - 腰痛症
• - 痙性麻痺
• - 脳血管障害やそれに伴う痙性脊髄麻痺
• - 頸部脊椎症
• - 手術後の遺症（脳・脊髄腫瘍など）
• - 外傷後の後遺症（脊髄損傷、頭部外傷など）
• - 筋萎縮性側索硬化症
• - 脳性小児麻痺
• - 脊髄小脳変性症
• - 脊髄血管障害
• - スモン（SMON）

副作用と注意

エペリゾンは比較的穏やかな効果を持ち、副作用も少ないことで知られ、多くの診療科で使用されています。ただし、過敏症の患者には使用できず、肝臓に障害がある場合は慎重に投与する必要があります。重大な副作用に該当するものには、ショックやアナフィラキシー様症状、皮膚粘膜眼症候群などがあります。一般的な副作用としては、発疹、眠気、不眠、頭痛、四肢のしびれ、脱力感、ふらつき、全身倦怠感などが挙げられます。

妊娠・授乳と使用上の注意

妊婦に対するエペリゾンの安全性は不明なため、特別な理由がない限り投与は避けるべきです。授乳中の女性がこの薬を使用すると、乳汁中に移行する可能性があるため、服用中は授乳を控える必要があります。また、小児に対する用法・用量は確立されていないため、高齢者に投与する場合は、減量を検討する必要があります。

作用機序

エペリゾンの作用は、主に以下のようなメカニズムによっています。

• - 骨格筋の弛緩と脊髄反射の抑制
• - 血管平滑筋の弛緩により筋肉内の血流を増加させる
• - 運動ニューロンを介した筋紡錘の感度の緩和
• - 動脈や皮膚血管における血流を増加させる血管拡張作用
• - 脊髄レベルでの鎮痛効果
• - 随意運動を円滑にする作用

エペリゾンはこのように多様な作用を持つことで、リハビリテーションにおいて有用な支持薬として使用され、特に筋力を低下させることなく自発的な動きを促進するのが特徴です。

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