エリ (軽巡洋艦・初代)

軽巡洋艦エリの概要

エリ（ギリシャ語: Έλλη）は、ギリシャ海軍に所属する軽巡洋艦であり、その名前は第一次バルカン戦争中のエリの海戦に由来しています。元々は清国海軍によってアメリカ合衆国に発注された肇和級防護巡洋艦の「飛鴻」として計画されましたが、辛亥革命の影響でこの発注はキャンセルされました。1914年にニューヨークの造船所で完成した後、ギリシャがこの艦を購入しました。この当時、ギリシャ海軍はオスマン帝国海軍に対抗するために巡洋艦を必要としており、唯一の艦隊主力であった装甲巡洋艦「イェロギオフ・アヴェロフ」に加えて戦力を強化するためにエリの導入が決定されました。

艦形と装備

エリの船体は短船首楼型で、艦首の乾舷が高くなっています。艦首甲板の上には、15.2cmの速射砲が単装砲架で1基搭載されており、防盾が付いています。この主砲の後方には開放的な操舵艦橋と簡素な単脚式の前部マストが立っています。艦の中央部には2本の煙突があり、その周囲には通風塔が立ち並びます。艦載艇の収納スペースもあり、片舷に2組ずつのボート・ダビッドを設置しています。

さらに、左右の舷側甲板には2か所のスポンソンがあり、それぞれに10.2cmの速射砲が配置されています。後部甲板上にも15.2cmの速射砲が後向きに設置されており、艦の防衛力を高めています。

1920年代には改装が行われ、艦橋は大型化し、前後のマストは撤去され、前部マストは三脚型のものに変更されました。また、煙突が若干太くなり、ボート・クレーンも設置されました。役目を終えた舷側の速射砲は撤去され、代わりに2番煙突の後方に15.2cmの速射砲が追加されました。このような改装により、艦の外観にも変化が見られました。

艦歴

エリは第一次世界大戦や希土戦争に参戦し、その後は1925年から1929年にかけてフランスで近代化改装が行われました。この改装により、対空兵器や機雷の搭載能力が向上しました。

1940年8月15日には、ギリシャ・イタリア戦争の直前、ティノス島沖で停泊中にイタリア潜水艦デルフィーノによって雷撃を受け、魚雷が命中し爆沈しました。この事件では9名が死亡し、24名が負傷する結果となりました。回収された魚雷の破片からそれがイタリア製であることが確認されましたが、ギリシャ政府は衝突を避け、攻撃した潜水艦の国籍については不明として発表しました。

第二次世界大戦が終了した後、イタリアからは傭兵隊長型軽巡のエウジェニオ・ディ・サヴォイアが賠償艦としてギリシャに引き渡され、その後エリと改名され、再びギリシャ海軍での運用が始まりました。

参考文献

さらに読むための資料やストーリーは、多くの軍事に関する書籍や文献で深めることができます。これらの情報は、エリの歴史に関連する重要な洞察を提供します。

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