エルナンド・デ・ソト

エルナンド・デ・ソト：新大陸を駆けた探検家

エルナンド・デ・ソト（Hernando de Soto, 1496/97年頃 - 1542年5月21日）は、スペインの探検家であり、コンキスタドール（征服者）として知られています。彼は現在のアメリカ合衆国領土への最初の白人遠征隊を率い、ミシシッピ川を白人として初めて発見しました。彼の生涯は、新大陸の探検と征服の歴史において重要な位置を占めています。

若年期と初期の探検

デ・ソトは、スペインのエストレマドゥーラ地方で、貧しい貴族の家に生まれました。この地域は、多くの若者が富を求めて海外へ出ていく場所でした。デ・ソトは、早くから新世界への冒険に憧れを抱いていました。

1514年、デ・ソトはパナマ総督ペドラリアス・ダビラと共に新世界へ渡ります。中央アメリカの征服に参加し、勇敢なリーダーシップと戦略によって名を上げます。しかし、その一方で、先住民に対する過激な残虐行為も行いました。この時期、彼はフアン・ポンセ・デ・レオン、バスコ・ヌーニェス・デ・バルボア、フェルディナンド・マゼランといった探検家たちの業績に大きな影響を受けました。

南アメリカでの活動

1528年、デ・ソトはニカラグアのレオン市議会議員に任命されます。その後、大西洋と太平洋の間の通路を探すために、ユカタン半島の沿岸部を北上する遠征隊を率いますが、失敗に終わります。

1532年、デ・ソトはフランシスコ・ピサロの南アメリカ征服に参加し、ペルーのインカ帝国へと進出します。彼はインカの族長アタワルパと面会した最初の白人となり、インカの富を略奪し、莫大な財産を手に入れました。

しかし、ピサロはアタワルパを処刑し、そのことがスペイン国王カルロス1世の怒りを買い、ピサロは死刑を宣告されることになります。

スペインへの帰還と新たな遠征への準備

インカの征服によって得た莫大な財宝を持ってスペインに帰国したデ・ソトは、征服の英雄として迎えられます。サンティアゴ騎士団に入団し、イザベル・デ・ボバディリャと結婚します。

彼は、グアテマラの政府要職を求めたものの、キューバ総督に任命され、北アメリカ大陸の植民地化を命じられます。ちょうどその頃、アルバル・ヌニェス・カベサ・デ・バカの北アメリカでの探検の話に興味を抱いたデ・ソトは、620名の志願者とともに北アメリカ遠征の準備を進めます。

1539年、デ・ソトは9隻の船でフロリダに上陸し、そこを「エスピリトゥ・サント」と名付けます。遠征隊には聖職者、職人、技師、農民、商人が含まれており、彼らは金とオリエントへの道を探すという目的を持っていました。

北アメリカ遠征

デ・ソトの北アメリカ遠征は、歴史家や地理学者によって詳細な経路が議論されていますが、その全体像は以下の通りです。

フロリダでの探検

デ・ソトの遠征隊は、まずフロリダを探索し、先住民との戦闘や待ち伏せに遭遇します。彼らは、捕虜にしたスペイン人のフアン・オルティスや、少年ペリコなどをガイドとして用い、各地を移動しました。彼らはアパラチー族の首都アンハイカを最初の冬期野営地としました。

マビラの虐殺

遠征隊は、ジョージアとサウスカロライナを通り、ノースカロライナのアパラチア山脈を北上し、その後、メキシコ湾岸へと向かいます。アラバマ州中央部では、モービル族の戦士たちが守る砦、マビラに到着します。そこで激しい戦闘となり、遠征隊は勝利するものの、多くの物資と人員を失いました。この戦いで、モービル族の戦士たちはほぼ全滅しました。

ミシシッピ川の発見とその後

1541年春、デ・ソトはチカソー族との戦いでさらに多くの人員を失い、5月8日にはミシシッピ川に到達しました。この川を渡った最初の白人として記録されていますが、彼はこの発見を単なる遠征の障害としか捉えていませんでした。

遠征隊は、現在のアーカンソー、オクラホマ、テキサスなどを通過し、各地の先住民と衝突します。冬を越した後、遠征隊は通訳のフアン・オルティスの死により、さらに困難な状況に陥ります。

デ・ソトの死と遠征の終焉

1542年5月21日、デ・ソトは熱病によってミシシッピ川の西岸で亡くなります。彼は「不滅の太陽神」を名乗っていましたが、その死は遠征隊によって隠され、遺体はミシシッピ川に沈められました。

デ・ソトの遠征は、金や植民地を見つけることはできず、多くの隊員を失いました。残った隊員たちは、ミシシッピ川を下ってメキシコ湾へと向かい、パヌコ川にたどり着き、最終的にメキシコシティに帰還しました。当初700名いた遠征隊は、最終的に300名程度しか生き残っていませんでした。

デ・ソトの遠征の影響

デ・ソトの遠征は、直接的な成功は少なかったものの、いくつかの影響を残しました。

地理的・生物学的知識の貢献：遠征の記録は、ヨーロッパにおける地理的、生物学的、民族学的な知識に貢献しました。
先住民社会の変容：遠征隊が持ち込んだ伝染病は、先住民社会に大きな打撃を与え、その社会構造を根本的に変えました。
スペインによる北アメリカ領有主張：デ・ソトの遠征は、スペイン王室にメキシコ以北の領土に対する関心を抱かせ、その後の植民地政策に影響を与えました。

遺産

デ・ソトの探検は、現代でも様々な形で記念されています。ミシシッピ州デソト郡、ルイジアナ州デソト郡、フロリダ州ヘルナンド郡とデソト郡は、彼にちなんで名付けられました。

デ・ソトの遠征は、金と富を求める探検家の野望と、新大陸における先住民の悲劇を象徴する出来事として、歴史に刻まれています。

参考資料

Clayton, Lawrence A. Clayton, Vernon J. Knight and Edward C. Moore (Editor): The de Soto Chronicles: The Expedition of Hernando de Soto to North America in 1539-1543; University of Alabama Press 1996. ISBN 0-8173-0824-5
Duncan, David Ewing: Hernando de Soto: A Savage Quest in the Americas; University of Oklahoma Press 1997. ISBN 0-8061-2977-8
Hudson, Charles M., Knights of Spain, Warriors of the Sun: Hernando De Soto and the South's Ancient Chiefdoms, University of Georgia Press, 1997. ISBN 0-8203-1888-4

外部リンク

Hernando de Soto's Conquest of North America
Hernando de Soto in the Conquest of South America
Hernando de Soto in the Conquest of Central America
Details of Hernando de Soto's Trail thru the United States
Detailed Maps of Hernando de Soto's United States Trail
Research to Reconstruct the Route of the Expedition
Brief Biography of Hernando de Soto
De Soto Memorial in Florida
* Discussion of Some Disputed Portions of DeSoto Trail

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