エルネスティーネ・シューマン＝ハインク

エルネスティーネ・シューマン＝ハインク：伝説のコントラルト歌手

エルネスティーネ・シューマン＝ハインク（Ernestine Schumann-Heink, 1861年6月15日 - 1936年11月17日）は、その美声と卓越した歌唱力で知られる、19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍した著名なオペラ歌手（コントラルト）です。

生涯

シューマン＝ハインクは、1861年にオーストリア帝国領（現在のチェコ共和国）のリーベンで、オーストリア人の両親のもとに生まれました。幼少期から音楽の才能を発揮し、グラーツで声楽を学びました。1877年にグラーツでベートーヴェンの《第九》で歌手デビュー後、1878年にドレスデン宮廷歌劇場でオペラデビューを果たしました。

1882年に同歌劇場の秘書と結婚し、4人の子をもうけましたが、後に離婚。その後、俳優パウル・シューマンと再婚し、シューマン＝ハインクと名乗るようになりました。彼女は公私ともに波乱万丈な人生を送りました。

キャリア

ハンブルク歌劇場での成功をきっかけに、シューマン＝ハインクは国際的な舞台へと活躍の場を広げました。ロンドンのコヴェント・ガーデン王立歌劇場やバイロイト音楽祭など、ヨーロッパ各地の主要な歌劇場に出演し、ワーグナー作品の歌唱で特に高い評価を得ました。1898年にはニューヨークのメトロポリタン歌劇場にデビューし、その後数十年にわたり同歌劇場の看板歌手として活躍しました。

彼女は幅広いレパートリーを持ち、オペラのみならず、コンサート歌手としても活躍しました。1900年代初頭には数多くの録音を残し、その歌声を後世に伝えています。

1921年には日本を訪れ、帝国劇場でリサイタルを開催し、日本の聴衆を魅了しました。1926年からはラジオ放送にも出演し、《きよしこの夜》を歌うなど、幅広い層に親しまれました。

1932年にメトロポリタン歌劇場で最後の出演を果たし、その後はラジオ番組で活躍しましたが、1936年に白血病により急逝しました。

評価

エルネスティーネ・シューマン＝ハインクは、その美声と広い音域、卓越した歌唱力によって、20世紀初頭を代表するコントラルト歌手として世界中で愛されました。彼女の歌声は、感情豊かで表現力に富み、聴衆の心を深く揺さぶりました。また、舞台上での存在感も圧倒的で、観客を魅了しました。彼女は音楽史にその名を刻み、後世の歌手たちに多大な影響を与えました。

主な出演オペラ

《ローエングリン》オルトルート
《ワルキューレ》フリッカ/ヴァルトラウテ
《ラインの黄金》エルダ/フロースヒルデ
《ジークフリート》エルダ
《神々の黄昏》ヴァルトラウテ/第1のノルン
《トリスタンとイゾルデ》ブランゲーネ
《さまよえるオランダ人》マリー
《預言者》フィデス
《ニュルンベルクのマイスタージンガー》マクダレーネ
《ウィンザーの陽気な女房たち》ライヒ夫人
《タンホイザー》羊飼い
《ヘンゼルとグレーテル》魔女

もう一度検索