エンリケ・スカラブローニ

エンリケ・スカラブローニの経歴

エンリケ・スカラブローニ（Enrique Scalabroni）は、1949年10月20日にアルゼンチン・コルドバ州アルタ・グラシアで誕生したエンジニアで、自動車技術者として特に知られています。彼のルーツはイタリアにあり、その背景が彼のキャリア形成に影響を与えました。まずはブエノスアイレス工科大学で工学を学び、1975年にフォーミュラ・ルノー・ファマチームに参加して自動車産業に足を踏み入れました。

## 初期の活躍

スカラブローニはその後、オスヴァルド・アンテロ・ルノーF2チームやミゲル・ヘルセグのフォード・ツーリズモ・カレッテラファクトリーチームで経験を積み、シングルシーター車の設計や製造に携わりました。1982年、彼は32歳でヨーロッパに渡り、イタリアの自動車コンストラクターであるダラーラにて風洞を使用したカーボンモノコックF3用シャシーの設計を開始しました。この革新的なアプローチは、その後のF3シーンにおいて重要な役割を果たしました。

## フォーミュラ1での成功

1985年、スカラブローニは著名なウィリアムズF1に移籍し、パトリック・ヘッドのもとでマシン設計の分野で大きな進展を遂げました。ここでは6速シーケンシャルトランスミッションの設計開発に注力し、FW10からFW12にかけて重要な役割を果たしました。特にFW12に搭載された新型の横置きトランスミッションのデザインは、そのコンパクトな形状がディフューザーの設計自由度を向上させ、多くの他のチームに影響を与えました。

1988年、ウィリアムズからフェラーリに移籍することになります。この移籍はフィアットの意向に基づくものであり、スカラブローニはフェラーリで空力のチーフデザイナーとしての役割を担うことになりました。この期間には、彼の専門性を活かし、フェラーリ・641および641/2の設計・開発を手掛け、1990年にはチームを6勝に導きます。

## 他のプロジェクトと最終的な移行

1991年には、再スタートを切ったチーム・ロータスにテクニカル・ディレクターとして移籍し、無事にロータス・102Bを製作しますが、その後友情による円満な理由でチームを離れました。しばらくの間、自動車コンストラクターのデ・トマソでシャシーやサスペンションの設計に従事し、1992年にはプジョー・スポールに移籍し、プジョー・905を開発。その結果、ル・マン24時間レースでの総合優勝を果たしました。

しかし、プジョーでのプロジェクトが終了後、スカラブローニは「Team Ikuzawa F1プロジェクト」に関与しますが、このプロジェクトも尽きることになります。1998年にはウィリアムズに復帰し、BTCCにおけるレース用車両の開発に貢献しました。

アジアテックとチームオーナーへの道

その後、アジアテックの設立にも関与し、自らチームBCNコンペティションを設立しました。このチームは国際F3000選手権やGP2選手権にて成功を収め、特に2004年の国際F3000選手権でのチームランキング2位は大きな成果となります。しかし、2008年にはチームを売却し、新しいプロジェクトに集中することになりました。

エンリケ・スカラブローニのキャリアは、多くの革新と成功を伴い、フォーミュラ1界隈やスポーツカーの分野でその名を刻んでいます。彼の知識と技術は、今なお自動車技術の進化に影響を与え続けています。

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