エヴゲーニイ・アレクセーエフ

エヴゲーニイ・イヴァーノヴィチ・アレクセーエフ

エヴゲーニイ・イヴァーノヴィチ・アレクセーエフ（1843年5月13日 - 1917年5月27日）は、ロシア帝国の海軍軍人および政治家であり、日露戦争において重要な役割を果たしました。彼は太平洋艦隊司令長官や極東総督として知られ、日露戦争の原因の一端を担った人物とされています。

経歴

アレクセーエフは海軍軍人の家系に生まれ、1863年に海軍士官学校を卒業しました。卒業後、彼は遠洋航海を経て、世界周航に従事します。1878年には巡洋艦「アフリカ」の艦長を務め、1883年から1886年にはフランスに駐在し、様々な外交任務に従事しました。その後、一等巡洋艦「アドミラル・コルニーロフ」の艦長として3度目の世界周航を果たしました。

1892年に准将に昇進し、海軍軍令部の副総長として勤務。1895年には太平洋艦隊の艦隊司令に任命され、1897年に少将に昇進し、黒海艦隊副司令長官となります。1899年には関東州の駐留軍司令官として任命され、中国での義和団の乱に従軍し、満洲を占領しました。この戦功により中将に昇進しました。

政治的立場と日露戦争

1902年から1903年にかけて、ロシア政府内で対日政策に関する意見が二分される中、アレクセーエフは対日強硬派に属しました。彼は内相のヴャチェスラフ・プレーヴェや他の軍人たちと共に、「中国のみならず朝鮮半島も支配できる」という主張を展開しました。当時のニコライ2世はこの立場に影響を受け、朝鮮半島の獲得に価値があると考えるようになりました。

その結果、アレクセーエフは1903年に大将に昇進し、極東総督に任命されました。この役職は極東における政治や軍事に関する全ての問題を管轄するもので、ロシアの外交政策における重要な役割を果たしました。彼はロシア資本家の要請に応じて朝鮮半島への権益確保を重視し、日本に対しては敵視政策を採りました。

1904年2月、日本軍の攻撃により日露戦争が勃発し、アレクセーエフは極東の陸海軍全体の指揮を任されました。彼は奉天で戦略を練っていましたが、4月に戦死したマカロフの後任が来るまでの間、旅順に入り、太平洋艦隊を指揮しました。しかし、日本軍の進撃によって旅順が孤立する危険性が高まり、アレクセーエフは艦隊参謀長のヴィトゲフトに指揮権を譲り、奉天へ戻ることを余儀なくされました。

アレクセーエフは陸軍司令官のアレクセイ・クロパトキンとの意見対立があり、さらなる敗北が続いたため、政府からの責任が問われました。1905年に彼は国家評議会議員に選ばれましたが、1917年のロシア革命の発生に伴い議員を辞任し、その後ヤルタで亡くなりました。

関連項目

• - 満洲に関する露清協定
• - 満洲還付条約
• - 日露戦争

アレクセーエフの人生は、ロシア帝国が直面していた複雑な国際情勢の中で、彼自身の信念と意思に基づく行動に彩られています。

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