エーギル (衛星)

エーギル（Aegir）は、土星の第36番目の衛星として知られています。この衛星は、土星の周りを逆行する軌道を持つ不規則衛星であり、北欧群と呼ばれるグループに属しています。エーギルは、2004年12月12日から2005年3月11日にかけて、デビッド・C・ジューイット氏、スコット・S・シェパード氏、ブライアン・マースデン氏、ジャン・クレイナ氏らの観測チームによって発見されました。最初に観測されたのは2004年12月12日であり、この発見には、すばる望遠鏡、W・M・ケック天文台、ジェミニ北望遠鏡といった、大型の望遠鏡群が用いられました。

発見当初、エーギルはS/2004 S 10という仮符号で呼ばれていました。2005年5月3日に、小惑星センターのサーキュラーで、他の11個の土星の新衛星と合わせて報告されました。その後、2007年4月5日に、北欧神話に登場する巨人族出身の海神エーギル（Ægir）にちなんで正式に命名され、Saturn XXXVIという確定番号が与えられました。

エーギルの土星からの平均距離は約2075万1000kmとされています。推定直径は約6kmと、比較的小さな天体です。この衛星は、その発見から命名、そしてその物理的特性に至るまで、土星の衛星系の多様性と複雑さを物語る一例と言えるでしょう。観測データから、エーギルがどのような構成要素で成り立っているのか、また、土星の形成過程においてどのような役割を果たしたのかを解明するために、今後の研究が期待されています。

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