オスリャービャ (戦艦)

オスリャービャ：ロシア海軍の運命を背負った戦艦

オスリャービャ（ロシア語: Ослябя）は、ロシア帝国が建造した戦艦であり、ペレスヴェート級戦艦の二番艦として知られています。この艦の名前は、クリコヴォの戦いにおいてのロシアの英雄「ロジオン・オスリャービャ」に由来し、1874年に除籍された先代フリゲートからその名を受け継ぎました。オスリャービャは日本海海戦でも戦没した戦艦として歴史に名を刻んでいます。

建造と艦の経歴

オスリャービャは1895年度の建艦計画に基づいて発注され、1895年11月22日にサンクトペテルブルクの新海軍工廠で起工しました。進水は1898年10月27日、竣工は1901年8月でした。総建造費は1,134万ルーブルに達しましたが、計画よりも排水量が大幅にオーバーしたため、実際に稼働できるようになったのは1903年の夏となりました。

日露戦争の勃発直前、オスリャービャは防護巡洋艦アヴローラなどと共にバルト海から旅順を目指して航海をしていましたが、故障により地中海に取り残されてしまいました。この時、日本海軍の新造装甲巡洋艦である春日と日進が航海中であり、両者の間には緊張が走っていました。スエズ運河を越え、紅海に達したものの、開戦が宣言されたため、オスリャービャはバルト海へと呼び戻されました。

オスリャービャは、その後ウラジーミル・ベール大佐の指揮のもとで第2太平洋艦隊、いわゆるバルチック艦隊に編入され、少将ドミトリー・フェルケルザムの旗艦となりました。艦は砲術部門において優秀艦として選ばれ、戦艦シソイ・ヴェリキィーやナヴァリン、装甲巡洋艦アドミラール・ナヒーモフと共に戦闘に向かいました。

戦闘と沈没

戦闘前、オスリャービャは排水量をオーバーし、過積載の状態であったため、主装甲帯が海面下に沈んでしまうという深刻な問題を抱えていました。この状態が、後の艦の運命を決定づけることとなりました。1905年5月24日、フェルケルザムが病により亡くなりましたが、その事実は艦隊内に隠され、艦の指揮系統は維持されました。

5月27日、対馬海峡においてオスリャービャは三列縦隊の左翼先頭艦として位置し、戦闘が開始されました。そこで彼女は、日本側の戦艦と装甲巡洋艦合計12隻のうち7隻からの集中砲火を浴びることとなりました。これは、先頭艦に集中攻撃をかける日本側の戦略と、オスリャービャの特徴的な三本煙突による識別のしやすさが影響しています。

オスリャービャは、戦隊の先頭艦であるオリョールの真後ろに位置していたため、相当な被弾を受けました。14時45分、艦首装甲砲座に直撃弾が命中し、大きな穴が開きました。艦シャフトは激しく傾き、やがて艦首は水面下に沈み込む結果となりました。15時7分には日本側によってオスリャービャの沈没が確認され、彼女は日本海海戦で初めて沈没した戦艦となりました。

沈没によって、オスリャービャでは515名近くが戦死し、その中には艦長ベールも含まれています。救助作業には駆逐艦が向かい、250名が複数の艦に救助されましたが、他の艦艇は捕虜となる運命を辿りました。艦の運命は、艦隊の戦局に大きな影響を与えました。

まとめ

オスリャービャはその存在が短命であったにもかかわらず、日露戦争における重要な役割を果たし、その悲劇的な結末が語り継がれています。この艦の歴史は、ロシア海軍の栄光と苦悩の象徴であり、海戦の厳しさを物語っています。

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