オダム (高速輸送艦)

USSオダム(APD-71)：知られざる高速輸送艦の生涯

USSオダム(APD-71)は、アメリカ海軍のチャールズ・ローレンス級高速輸送艦の一隻として、その生涯をスタートさせました。本艦は、第二次世界大戦における兵員輸送や上陸作戦支援、戦後の占領任務など、多岐にわたる任務に従事し、その後チリ海軍へと譲渡され、その役割を終えました。本稿では、USSオダムの誕生から終焉まで、その詳細な足跡を辿ります。

起工から就役

USSオダムは、当初バックレイ級護衛駆逐艦の一隻として、1943年10月15日にテキサス州オレンジのコンソリデーテッド・スチール社で起工されました。1944年1月19日には、ジョゼフ・R・オダム一等兵の母親であるキャサリン・オダムによって命名・進水。その後、高速輸送艦への艦種変更を経て、1945年1月12日にジョン・A・クロムリー少佐の指揮下で就役しました。

第二次世界大戦での活躍

就役後、オダムはバミューダ沖での整調を経て太平洋戦線に投入されました。ハワイでの揚陸戦訓練後、水中破壊チームを乗せて西太平洋に進出。グアム、ウルシー環礁を経由し、レイテ島への護衛任務に従事しました。終戦間際には、日本の占領を担当する上陸部隊を輸送し、9月8日に日本に到着。連合国軍捕虜の輸送任務にもあたりました。

戦後の活動と退役

終戦後、オダムは極東に留まり、日本占領の支援を行いました。帰国後は大西洋艦隊に配属され、東海岸沿いやカリブ海での任務に従事。1946年7月26日に不活性化のためチャールストン海軍造船所に入渠し、その後退役のためフロリダ州グリーンケーブスプリングスへ回航されました。1946年11月15日にグリーンケーヴスプリングスで退役し、長らく保管されました。

チリ海軍での「セラーノ」

1966年11月15日、オダムは防衛援助計画に基づきチリ海軍に売却され、「セラーノ(ACH Serrano, APD-26)」と改名されました。チリ海軍では輸送艦として運用され、1984年に退役、スクラップとして廃棄されました。

USSオダムは、その短い生涯の中で、護衛駆逐艦から高速輸送艦へと姿を変え、激戦地での任務から戦後の復興支援まで、多岐にわたる役割を果たしました。その名は、アメリカ海軍の歴史に静かに刻まれています。

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