オデコネコザメ

オデコネコザメ (Heterodontus galeatus)

オデコネコザメはネコザメ属に属する珍しいサメで、オーストラリアの東部沿岸に生息しています。特にモートン岬からベイトマンズベイまで、暖温帯の海域で見られます。このサメは全長約1.2mに達し、その特徴的な形態と体色は他のネコザメ類と一目で区別できます。

分類

この種は、1870年にイギリスの動物学者アルベルト・ギュンターによって初めて記録され、当初はCestracion galeatusとして名付けられました。小名のgaleatusはラテン語で「ヘルメットを装備した」という意味を持ち、この名は大きな眼上隆起に由来しています。その後、いくつかの属に分類された後、最終的にHeterodontus属に落ち着きました。タイプ標本は68cmの雌です。

形態

オデコネコザメの頭部は短く広く、吻は豚のように短い形をしています。目は高い位置にあり、瞬膜を欠く点が特徴的です。また、眼上隆起がネコザメ類の中で最も大きく、目を引く要因となっています。鼻孔は口まで到達する長い前鼻弁に囲まれ、鼻の周りには溝があります。口は吻の端近くに位置し、顎の前方の歯は小さく、尖った形状をしていますが、奥歯は幅広く臼歯のようになっています。

胸鰭は大きく丸く、腹鰭と臀鰭はいくぶん小さく角ばった形をしています。第一背鰭は高めで先端が丸く、胸鰭の後方から成長しています。体色は淡褐色で、サドルのような模様が５本走っており、個体ごとに異なる特徴を持ちます。

分布

オデコネコザメは主にオーストラリアの東部、特にクイーンズランド州南部とニューサウスウェールズ州北部に分布し、深度93mまでの大陸棚で主に生活しています。岩礁や藻場を好む底生性の魚であり、潮間帯から深い場所まで広がる傾向があります。彼らの生息域はポートジャクソンネコザメと一部重なるものの、本種はあまり見かけることがないです。

生態

オデコネコザメは夜行性で、餌を探すためにゆっくりと岩の隙間を泳ぎます。主な餌はウニ類を中心に、さまざまな無脊椎動物や小魚を食べることもあります。また、彼らはポートジャクソンネコザメの卵の主要な捕食者であり、その卵鞘を噛み破って中身を吸い出す行動も観察されています。繁殖は年に一度行い、7〜8月に10〜16個の卵を産みます。孵化までの期間は、通常5ヶ月ですが場合によっては8〜9ヶ月かかることもあります。

人との関わり

人間に対しては危害を加えないため、特に遊漁や商業漁業では多く利用されることはありません。混獲されることは稀で、サメよけネットに絡まることもありますが、ほとんどの個体は無事に戻ることができます。オデコネコザメは分布域が狭く稀少な種であり、IUCNによって保存状況は軽度懸念とされているため、慎重な監視が求められています。また、日本のアクアワールド大洗ではこのサメを観察することも可能です。

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