オトマート (ミサイル)

オトマート (Otomat)

オトマートは、イタリアのオート・メラーラ社とフランスのマトラ社によって開発された対艦ミサイルであり、名称は両社名の頭文字を組み合わせたものです。現在はMBDA社が製造を行っており、様々な海軍によって使用されています。このミサイルは1976年に初モデルが就役した後、数回にわたる改良を経て、現行のオトマートMk.2ブロックIVが登場しました。

開発の経緯

オトマートの開発は1967年に始まり、1972年に初めて誘導試射が行われました。オトマートMk.1が就役した後も、1973年からは改良型のオトマートMk.2の開発が進められました。Mk.2は1974年から試験に入り、さらなる高性能化を目指しました。2015年時点では、最新のMk.2ブロックIVが開発され、2006年に試射に成功し、2007年にはイタリア海軍への配備が実施されました。

設計特徴

オトマートは、マトラ社が開発したマーテルの発展型にあたる設計を持ち、エンジンにはターボジェットエンジンを用いています。初期型のMk.1はファイア・アンド・フォーゲット方式を採用し、中間航程では慣性誘導を使用し、終末航程ではXバンド・レーダーを利用したアクティブ・レーダー・ホーミング（ARH）が行われます。

改良型のMk.2では、目標情報を中間航程で更新できる機能が追加され、さらに折り畳み式の翼を採用することで発射筒のスペースを有効活用できる設計になっています。これにより、同じスペース内に複数のミサイルを装填することが可能です。

誘導方式

オトマートMk.2には、目標情報の送受信方法に応じて、フランス製のERATOとイタリア製のTESEOの二種類があります。ERATOを採用した場合、中間航程では母艦からのリンクを介して目標情報を受信し、最大166kmの射程を持ちながら複数の目標に同時攻撃が可能です。

一方、TESEOではヘリコプターとの連携により、全航程でシースキミングを行い、敵からの探知を避けられる利点があります。ただし、一度に攻撃可能な目標数は制限されています。

最新技術

オトマートMk.2ブロックIVでは、GPSを用いた中間誘導が可能となり、対地攻撃への対応も強化されています。さらに、電子防護機能や攻撃プロファイルの精緻化が進められ、複雑な戦術的要件を満たす能力が向上しています。

掲載艦艇

このミサイルは、イタリア海軍の各種艦艇に搭載されています。具体的には、アウダーチェ級やデ・ラ・ペンネ級駆逐艦、ルポ級フリゲートなどが含まれます。また、フランス海軍やサウジアラビア海軍、リビア海軍なども採用しています。特にサウジアラビア海軍はERATO版を搭載しており、最新の対艦戦闘能力を保持しています。

全体として、オトマートは高い性能と柔軟性を兼ね備えた対艦ミサイルとして評価されており、その発展は今後も続くでしょう。

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