オフリド合意

オフリド枠組合意（Ohrid Framework Agreement）

オフリド枠組合意は、2001年8月13日にマケドニア共和国政府と同国のアルバニア人代表の間で締結された合意です。この合意によって、マケドニア共和国の治安維持部隊と民族解放軍（NLA）との間で続いていたマケドニア紛争が終結し、アルバニア人の民族的権利を向上させるための基盤が築かれました。

背景と経緯

2001年、マケドニア共和国では、アルバニア人住民による反政府武装闘争が激化していました。彼らは、自分たちの民族的権利が十分に保障されていないと主張し、政府に対して様々な要求を突きつけました。こうした状況を打開するため、マケドニア政府は、アルバニア人代表との間で和平交渉を開始しました。交渉は難航しましたが、アメリカ合衆国と欧州連合の仲介により、最終的にオフリド枠組合意が成立しました。

合意の内容

オフリド枠組合意の主な内容は以下の通りです。

アルバニア人の権利向上: アルバニア人の民族的アイデンティティの尊重、公的機関におけるアルバニア語の使用、アルバニア人住民の政治参加の促進などが盛り込まれました。
地方分権の推進: 地方自治体の権限を強化し、住民が自分たちの地域の問題に主体的に取り組めるようにしました。
治安部門の改革: 警察や軍隊における民族構成のバランスを図り、すべての住民が平等に扱われるようにしました。
公用語の追加: 人口の20%を超える言語はマケドニア語とともに公用語となることが定められました。

交渉の経緯

合意は、マケドニア政府とマケドニア人、アルバニア人の代表に加え、アメリカ合衆国と欧州連合の代表者を交えたオフリドでの一連の交渉によって成立しました。交渉には、当時の大統領府事務局長ゾラン・ヨレフスキが深く関与しました。マケドニア人側からは、内部マケドニア革命組織・マケドニア国家統一民主党（VMRO-DPMNE）とマケドニア社会民主同盟（SDSM）の代表が、アルバニア人側からは、アルバニア人民主党（DPA）と民主繁栄党（PDP）の代表が参加しました。ただし、紛争の当事者であった民族解放軍（NLA）は、直接交渉には参加していません。

合意の意義と課題

オフリド枠組合意は、マケドニア紛争を終結させ、マケドニア共和国の安定と発展に大きく貢献しました。しかし、合意の履行には、依然として課題が残されています。例えば、アルバニア語の使用範囲や、地方分権の具体的な進め方などについては、意見の相違が残っています。また、民族間の相互理解を深め、共生社会を築いていくためには、さらなる努力が必要です。

調印者

ボリス・トライコフスキ（第2代マケドニア共和国大統領）
リュブチョ・ゲオルギエフスキ（第3代マケドニア共和国首相）
ブランコ・ツルヴェンコフスキ（マケドニア社会民主同盟党首、後の第3代マケドニア共和国大統領）
アルベン・ジャフェリ（アルバニア人民主党党首）
ユメル・ユメリ（民主繁栄党党首）
フランソワ・レオタール（欧州連合の調停者）
ジェームズ・W・パーデュ（アメリカ合衆国の調停者）

外部リンク

オフリド合意全文（欧州評議会）

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