オマハ級軽巡洋艦

オマハ級軽巡洋艦

オマハ級軽巡洋艦は、アメリカ海軍が第一次世界大戦後に最初に建造した軽巡洋艦の艦級です。大艦巨砲主義に基づき、日本海軍の新型巡洋艦に対抗するため、艦隊型偵察巡洋艦・嚮導巡洋艦として設計されました。その特徴は、駆逐艦を凌駕する6インチ砲を搭載し、駆逐艦並みの35ノットという高速を発揮できる点にありました。しかし、その設計には多くの問題点も抱えていました。

艦体

船体形状は、同時期のアメリカ海軍のクレムソン級駆逐艦と同様に、高い艦首から低い艦尾までなだらかに傾斜する平甲板型を採用しています。艦首には15.2cm連装砲塔が1基、その背後には15.2cm単装砲がケースメイト配置で左右に4門ずつ配置されています。艦橋の前には三脚檣が立ち、その後ろには4本の煙突が並んでいます。機関配置はシフト配置を採用しており、2番煙突と3番煙突の間は広く取られ、艦載艇置き場として利用されました。また、3番・4番煙突の中段には探照灯台が設けられています。後部には53.3cm3連装魚雷発射管が両舷に1基ずつ、さらに隠蔽式の53.3cm連装魚雷発射管が両舷に1基ずつ装備され、後部にはケースメイト配置の15.2cm単装砲が4門と主砲塔1基が配置されています。しかし、細い船体に高い構造物を持つため、復元性に問題があり、1930年代にはマストの切り詰めや見張り所の設置など、構造的な改修が行われました。また、一部の艦では、舷側ケースメイト後部の下段2基が撤去され、片舷指向門数は8門から7門に減少しました。

兵装

主砲には、新設計の「Mk 12 15.2cm（45口径）速射砲」が採用されています。最大仰角30度で23,130m、仰角20度で19,290mの射程を有していました。しかし、連装砲塔とケースメイト配置では俯仰能力が異なり、射程にも差が生じました。高角砲には「Mark 11 7.62cm（50口径）高角砲」が採用され、対空防御を担当しました。さらに、対艦攻撃用として53.3cm魚雷発射管を多数搭載していました。

機関配置

オマハ級は、アメリカ海軍の軽巡洋艦としては初めて「シフト配置」を採用しました。ボイラー室と機関室を交互に配置することで、被弾時の損害を局限する狙いがありました。ヤーロウ式重油専焼水管缶8基とギヤードタービン4基4軸を組み合わせた結果、公試では最大出力90,000馬力、速力35ノットを発揮することができました。

問題点

オマハ級には、様々な問題点がありました。当初計画より装備が増加したことで吃水が深くなり、乗員の増加により居住性も悪化しました。また、後部両舷下部の6インチ砲は波浪により射撃が困難となり、高速時には燃料タンクに海水が侵入し航行不能に陥ることもありました。これらの問題点を解消するため、改修が実施されましたが、根本的な解決には至りませんでした。

艦歴

オマハ級は、設計中に偵察巡洋艦から軽巡洋艦に類別変更されました。1918年から建造が開始され、1924年から1925年にかけて全艦が竣工しました。就役後、復元性の不足や居住性の問題が指摘され、改修が行われました。第二次世界大戦では、その旧式さから前線での任務には堪えられないと判断され、後方支援や哨戒任務に従事しました。太平洋戦争では、真珠湾攻撃時の「ローリー」やジャワ沖海戦での「マーブルヘッド」の損傷が、その戦力としての限界を示すことになりました。しかし、全艦が終戦まで生き残り、その任務を全うしました。

同型艦

オマハ (USS Omaha, CL-4)
ミルウォーキー (USS Milwaukee, CL-5)
シンシナティ (USS Cincinnati, CL-6)
ローリー (USS Raleigh, CL-7)
デトロイト (USS Detroit, CL-8)
リッチモンド (USS Richmond, CL-9)
コンコード (USS Concord, CL-10)
トレントン (USS Trenton, CL-11)
マーブルヘッド (USS Marblehead, CL-12)
メンフィス (USS Memphis, CL-13)

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