オリイジネズミ

オリイジネズミ（折居地鼠）

オリイジネズミ（学名: Crocidura orii）は、日本特有の哺乳類であり、真無盲腸目トガリネズミ科の一種です。この動物は、主に奄美大島、加計呂麻島、そして徳之島の限られた地域に生息しています。1922年に奄美大島で初めて採集され、翌1924年に新しい種として正式に記載されました。その生息数は非常に少なく、詳しい生態についてはまだ多くの謎が残されています。種小名の orii は、動物収集家の折居彪二郎にちなんで名づけられたものです。

形態的特徴

オリイジネズミは日本のジネズミ類の中では比較的大きな体を持っています。サイズの目安として、頭胴の長さは約70～90mm、尾の長さは40～50mm、体重は約12gです。特徴的なのは、手足や爪が大きい点で、全体的に明るい茶色の体毛を持っています。これにより、周囲の環境と融和しながら生活することができます。

生息環境

オリイジネズミは、主に奄美大島の常緑広葉樹林で確認されています。そのため、この種は森林に生息する動物であると一般には考えられていましたが、加計呂麻島では畑地と森林の境界での観察があったため、さまざまな環境で生息している可能性も示唆されています。

分類と近縁種

この種は、かつてジネズミ（ニホンジネズミ、学名: Crocidura dsinezumi）の亜種として分類されていましたが、現在では独立した種と見なされています。また、ジネズミとの近縁性は認められていません。オリイジネズミは、アマミノクロウサギやアマミトゲネズミなどと同様に、大陸からの遺存種と考えられていることもあります。奄美群島や沖縄諸島には、草原環境に適応した同属のワタセジネズミ（Crocidura watasei）が生息していますが、オリイジネズミとは異なる生活環境にあります。

保全状況

オリイジネズミは、国際自然保護連合（IUCN）のレッドリストにおいて 危急種（Endangered） に指定されており、日本の環境省のレッドリストでも 絶滅危惧IB類（EN） として評価されています。鹿児島県のレッドデータブックでも、この種は絶滅危惧I類に分類されており、保護の必要性が強く求められています。

参考文献

• - 阿部愼太郎 「オリイジネズミ」『鹿児島県の絶滅のおそれのある野生動植物 -鹿児島県レッドデータブック植物編-』 財団法人鹿児島県環境技術協会、2003年、16頁

オリイジネズミの保護と研究が進むことによって、その生態に関する理解が深まることが期待されています。

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