オリエント時計
オリエント時計株式会社は、かつて東京都新宿区に本社を置いていた日本の企業です。2017年3月までセイコーエプソン（以下、エプソン）の機能子会社として、腕時計の製造・販売を行っていました。同年4月1日、エプソンに事業統合され、現在はエプソンの腕時計ブランド「ORIENT」として展開されています。
かつては時計専業メーカーでしたが、プリンターや電子機器事業にも進出し、2008年3月期には連結売上高の約7割が時計以外の事業によるものでした。エプソンによる完全子会社化後は、プリンター事業と電子機器事業が分離され、再び時計専業となりました。
時計分野では、機械式時計が主流だった1970年代前半まで、独特で個性的なデザインの腕時計を世に送り出していました。1970年代にはクォーツ時計の比率を高め、「デジタル三世」や「デジタルエース」などのヒット商品を生み出しました。一時的に機械式時計の開発を中止しましたが、1990年代末には機械式時計ブランド「オリエントスター」を復活させました。比較的安価で精度の高い機械式ムーブメントや、パワーリザーブ表示機能を搭載したモデルは人気を集め、2000年代前半には普及機から高級機まで幅広い機械式時計のラインナップを揃えました。
2004年には1960年代の薄型自動巻ムーブメントをベースにした新しい自動巻ムーブメントを開発し、フラッグシップブランド「ロイヤルオリエント」を復活させました。2007年時点では比較的高価格帯の機械式時計が主力製品となり、クォーツ時計の比率は低くなっています。
1978年には時計メーカーの東京時計製造を買収し、クロック分野にも進出しましたが、後に撤退しました。
1980年代には、岩崎良美、中森明菜、Wink、山田邦子などの女性アイドルやタレントをイメージキャラクターに起用し、テレビCMを展開しました。
2017年4月1日、販売部門はエプソン販売へ、その他の部門はエプソンに統合されました。オリエント腕時計の部品製造と組み立ては、秋田エプソン（旧・秋田オリエント精密）の本社工場で行われています。
東洋時計株式会社
（時計の小売販売を行っている東洋時計株式会社（1931年創業）とは別の会社です。）
1901年：吉田庄五郎が下谷区上野元黒門町（後の台東区上野二丁目）に吉田時計店を創業。
1920年：東洋時計製作所として設立、置時計の製造を開始。
1934年：腕時計の製造を開始。
1936年：南多摩郡日野町（後の日野市）に工場を新設。
戦時中：商号を東洋兵器工業株式会社に変更、後に東洋時計株式会社に再度変更。
1946年：労働争議（東洋時計上尾争議）が発生、暴力団の介入により死者1名、負傷者100名以上を出す。その後、東洋時計は事業を停止。
オリエント時計株式会社
1950年：多摩計器株式会社として、東京都南多摩郡日野町に設立。東洋時計の日野工場を借り受け、腕時計などの製造を開始。
1951年：商号をオリエント時計株式会社に変更。機械式腕時計「オリエントスター」発売。
1952年：借り受けていた日野工場を公売で落札し、自社所有とする。
1953年：本店を東京都中央区に移転。
1956年：東京都本店を千代田区に移転。
1961年：東京証券取引所第2部（現・スタンダード）に上場。
1976年：千葉真一をイメージキャラクターに起用したCMや広告を展開開始。
1978年：東京時計製造株式会社の株式を過半数取得し、子会社化。
1981年：子会社として羽後時計精密株式会社（後の株式会社ユーティーエス）を設立。
1984年：東京時計製造を清算。エプソンとの合弁により株式会社ソーテックを設立し、IC組立事業に進出。
1986年：子会社として秋田オリエント精密株式会社を設立。
1997年：エプソンに対する第三者割当増資を行い、同社が筆頭株主となる。
1998年：株式会社ソーテックをエプソンへ譲渡。
2001年：本社を千代田区の本店所在地に移転し、日野事業所から撤退。エプソンに対する第三者割当増資で52%の株式を取得したエプソンが親会社となる。旧日野事業所はエプソンが引き継ぐ。
2003年：3期連続で債務超過の状態が続いたため、東証2部を上場廃止。グリーンシート銘柄として登録される。
2008年：エプソンが株式公開買い付けを実施。
2009年：エプソンの機能子会社となる。グリーンシート銘柄登録取消および上場廃止。
2017年4月1日：販売部門はエプソン販売へ、その他の部門はエプソンに統合され、企業としてのオリエント時計は事実上の休眠会社となる。
秋田オリエント精密株式会社（現・秋田エプソン株式会社）
オリエント時計の子会社でした。かつては腕時計用ムーブメントなどを生産していましたが、後にプリンター部品や水晶振動子の加工・組立が主な事業となりました。2009年4月1日、オリエント時計からエプソンへの株式譲渡により、エプソンの直接子会社となり、同日付で秋田エプソン株式会社に商号変更しました。本社は秋田県湯沢市。
株式会社ユーティーエス
オリエント時計の子会社で、シリコンウェハーの加工を主な事業としていました。以前は腕時計の地板、ケース、バンドなども生産していました。本社は秋田県雄勝郡羽後町にありました。2017年4月1日付で秋田エプソン株式会社と合併し消滅しました。
オリエント時計株式会社 第83期 有価証券報告書、2008年。
オリエント時計株式会社 第54期 有価証券報告書総覧、大蔵省印刷局、1979年。
森年樹『国産腕[時計] オリエント』トンボ出版、1999年、25-26頁。ISBN 978-4-88716-107-8
東京時計製造
セイコーエプソン - 2017年3月末までの親会社
MINASE - 秋田エプソンと同じ湯沢市に工房がある機械時計メーカー。
* オリエント時計 - セイコーエプソン株式会社
概要
かつては時計専業メーカーでしたが、プリンターや電子機器事業にも進出し、2008年3月期には連結売上高の約7割が時計以外の事業によるものでした。エプソンによる完全子会社化後は、プリンター事業と電子機器事業が分離され、再び時計専業となりました。
時計分野では、機械式時計が主流だった1970年代前半まで、独特で個性的なデザインの腕時計を世に送り出していました。1970年代にはクォーツ時計の比率を高め、「デジタル三世」や「デジタルエース」などのヒット商品を生み出しました。一時的に機械式時計の開発を中止しましたが、1990年代末には機械式時計ブランド「オリエントスター」を復活させました。比較的安価で精度の高い機械式ムーブメントや、パワーリザーブ表示機能を搭載したモデルは人気を集め、2000年代前半には普及機から高級機まで幅広い機械式時計のラインナップを揃えました。
2004年には1960年代の薄型自動巻ムーブメントをベースにした新しい自動巻ムーブメントを開発し、フラッグシップブランド「ロイヤルオリエント」を復活させました。2007年時点では比較的高価格帯の機械式時計が主力製品となり、クォーツ時計の比率は低くなっています。
1978年には時計メーカーの東京時計製造を買収し、クロック分野にも進出しましたが、後に撤退しました。
1980年代には、岩崎良美、中森明菜、Wink、山田邦子などの女性アイドルやタレントをイメージキャラクターに起用し、テレビCMを展開しました。
2017年4月1日、販売部門はエプソン販売へ、その他の部門はエプソンに統合されました。オリエント腕時計の部品製造と組み立ては、秋田エプソン（旧・秋田オリエント精密）の本社工場で行われています。
沿革
東洋時計株式会社
（時計の小売販売を行っている東洋時計株式会社（1931年創業）とは別の会社です。）
1901年：吉田庄五郎が下谷区上野元黒門町（後の台東区上野二丁目）に吉田時計店を創業。
1920年：東洋時計製作所として設立、置時計の製造を開始。
1934年：腕時計の製造を開始。
1936年：南多摩郡日野町（後の日野市）に工場を新設。
戦時中：商号を東洋兵器工業株式会社に変更、後に東洋時計株式会社に再度変更。
1946年：労働争議（東洋時計上尾争議）が発生、暴力団の介入により死者1名、負傷者100名以上を出す。その後、東洋時計は事業を停止。
オリエント時計株式会社
1950年：多摩計器株式会社として、東京都南多摩郡日野町に設立。東洋時計の日野工場を借り受け、腕時計などの製造を開始。
1951年：商号をオリエント時計株式会社に変更。機械式腕時計「オリエントスター」発売。
1952年：借り受けていた日野工場を公売で落札し、自社所有とする。
1953年：本店を東京都中央区に移転。
1956年：東京都本店を千代田区に移転。
1961年：東京証券取引所第2部（現・スタンダード）に上場。
1976年：千葉真一をイメージキャラクターに起用したCMや広告を展開開始。
1978年：東京時計製造株式会社の株式を過半数取得し、子会社化。
1981年：子会社として羽後時計精密株式会社（後の株式会社ユーティーエス）を設立。
1984年：東京時計製造を清算。エプソンとの合弁により株式会社ソーテックを設立し、IC組立事業に進出。
1986年：子会社として秋田オリエント精密株式会社を設立。
1997年：エプソンに対する第三者割当増資を行い、同社が筆頭株主となる。
1998年：株式会社ソーテックをエプソンへ譲渡。
2001年：本社を千代田区の本店所在地に移転し、日野事業所から撤退。エプソンに対する第三者割当増資で52%の株式を取得したエプソンが親会社となる。旧日野事業所はエプソンが引き継ぐ。
2003年：3期連続で債務超過の状態が続いたため、東証2部を上場廃止。グリーンシート銘柄として登録される。
2008年：エプソンが株式公開買い付けを実施。
2009年：エプソンの機能子会社となる。グリーンシート銘柄登録取消および上場廃止。
2017年4月1日：販売部門はエプソン販売へ、その他の部門はエプソンに統合され、企業としてのオリエント時計は事実上の休眠会社となる。
関連企業
秋田オリエント精密株式会社（現・秋田エプソン株式会社）
オリエント時計の子会社でした。かつては腕時計用ムーブメントなどを生産していましたが、後にプリンター部品や水晶振動子の加工・組立が主な事業となりました。2009年4月1日、オリエント時計からエプソンへの株式譲渡により、エプソンの直接子会社となり、同日付で秋田エプソン株式会社に商号変更しました。本社は秋田県湯沢市。
株式会社ユーティーエス
オリエント時計の子会社で、シリコンウェハーの加工を主な事業としていました。以前は腕時計の地板、ケース、バンドなども生産していました。本社は秋田県雄勝郡羽後町にありました。2017年4月1日付で秋田エプソン株式会社と合併し消滅しました。
脚注
参考文献
オリエント時計株式会社 第83期 有価証券報告書、2008年。
オリエント時計株式会社 第54期 有価証券報告書総覧、大蔵省印刷局、1979年。
森年樹『国産腕[時計] オリエント』トンボ出版、1999年、25-26頁。ISBN 978-4-88716-107-8
関連項目
東京時計製造
セイコーエプソン - 2017年3月末までの親会社
MINASE - 秋田エプソンと同じ湯沢市に工房がある機械時計メーカー。
外部リンク
* オリエント時計 - セイコーエプソン株式会社
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