オンタリオ航空1363便墜落事故

オンタリオ航空1363便墜落事故

1989年3月10日に発生したオンタリオ航空1363便の墜落事故は、カナダの航空史において痛ましい一幕として記録されています。運航していたのはフォッカーF28-1000で、乗務員と乗客69名が搭乗していました。事故は、カナダ南部のサンダーベイからウィニペグへ向かう途中、ドライデン地域空港を離陸した直後に発生しました。

事故の概要

現地時間15時頃、1363便は空港を離陸し、約1km先の森に墜落しました。乗客65名と乗員4名のうち、悲しいことに乗客21名と機長、副操縦士を含む3名の乗務員が命を落としました。機長は52歳、副操縦士は35歳の男性でした。機体は1972年製造のフォッカーF28-1000で、機体記号はC-FONFでした。

事故原因の調査

事故の詳細な調査から、原因として主翼の着氷が挙げられています。離陸待機中、機体の主翼に氷がまとわりつき、必要な揚力を得ることができずに墜落へと繋がりました。しかし、この事故に関してはパイロットに明確な責任はなく、航空機の補助動力装置（APU）の故障が大きな要因として浮かび上がりました。エンジンを起動するためにはAPUが必要でしたが、故障のため乗務員はエンジンを起動したままの状態で燃料補給を行わなければならず、除氷作業ができないという規則の壁に直面していました。

調査によれば、仮にAPUが正常であったとしても、当日の天候や待機時間、使用されていた除氷液の特性から、この事故は防げなかった可能性が示唆されています。特に、フォッカーF28自体が着氷に対して脆弱な設計であった点が問題視されました。

事故後の対応

墜落によって機体は三つに分断され、24名の乗員乗客が亡くなりました。事故調査の結果、運輸安全委員会は着氷の危険性とその除去作業の重要性を訴えましたが、教訓が十分に生かされなかったと言われています。この悲劇的な事故からわずか3年後、アメリカ合衆国のラガーディア空港で、同様の要因による事故が再び発生してしまいました。

メディアでの取り上げ

この事故は、航空事故を扱ったドキュメンタリー番組『メーデー!:航空機事故の真実と真相』の第7シーズン第6話「COLD CASE」において詳しく紹介されています。この番組では、事故の詳細や航空業界における教訓が取り上げられており、航空安全に対する意識を促す重要な内容となっています。

関連事故

オンタリオ航空1363便の墜落は、過去にも同様の原因で発生したいくつかの事故を思い起こさせます。1974年にトルコ航空301便で発生した事故や、1982年のエア・フロリダ90便墜落事故、さらに1992年のUSエアー405便墜落事故が同じような教訓を持っています。これらの事故は、航空機運航における安全管理の重要性を改めて強調しています。

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