ゲオルゲンベルク協定

ゲオルゲンベルク協定 (Georgenberger Handfeste)

1186年8月17日、エンスにおいて、オーストリア公レオポルト5世とシュタイアーマルク公オットカール4世の間で締結されたゲオルゲンベルク協定は、中世ヨーロッパの政治史において重要な意味を持つ出来事です。

協定締結の背景

オットカール4世は当時、ハンセン病に苦しんでおり、後継者に恵まれない状況でした。オタカール家の存続が危ぶまれる中、彼は生前にレオポルト5世へ公国を譲渡することを決意し、その内容を明確にするためにこの協定が結ばれました。

協定の内容

ゲオルゲンベルク協定の主な内容は以下の2点です。

1. オットカール4世の死後、バーベンベルク家のレオポルト5世とその息子フリードリヒがシュタイアーマルク公国を継承し、以降、同公国はオーストリア公国と同君連合のもとで永続的に統合される。
2. シュタイアーマルクの各階級および市民の権利は、今後も保証される。

この協定の後者、つまり市民の権利保護に関する条項は、一部のイギリスの歴史家によって「シュタイアーマルクのマグナ・カルタ」と評されることもあります。しかし、歴史家のフリードは、この見解は正確ではないと指摘しています。

当時のシュタイアーマルク公国は、現在のオーストリア共和国シュタイアーマルク州とスロヴェニア共和国のシュタイエルスカ地方（下シュタイアーマルク）を合わせた地域よりも広大で、オーストリアのオーバーエスターライヒ州、トラウン川地方のヴェルスやシュタイアー、ニーダーエスターライヒ州のウィーナー・ノイシュタットやノインキルヒェンにまで及んでいました。

協定の履行とその後

1192年にオットカール4世が死去すると、ゲオルゲンベルク協定は正式に履行されました。その後、1237年には神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世によって承認され、その正当性が確立されました。1246年にバーベンベルク家が断絶すると、シュタイアーマルク公国はオーストリア公国と同様に、ハプスブルク家の支配下に入りました。このゲオルゲンベルク協定は、後のハプスブルク帝国が複雑な世襲領を形成していく上での最初の重要なステップとなりました。

1848年革命まで、ゲオルゲンベルク協定はオーストリア帝国の憲法の一部として機能し続けました。協定の原本は現在、グラーツの公文書館に保管されています。

参考文献

Freed, John B. Noble Bondsmen: Ministerial Marriages in the Archdiocese of Salzburg, 1100-1343*. Ithaca, NY: Cornell University Press, 1995.

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