オーバーシーズ・ナショナル・エアウェイズ

オーバーシーズ・ナショナル・エアウェイズ（ONA）の歴史

オーバーシーズ・ナショナル・エアウェイズ（Overseas National Airways、以下ONA）は、アメリカ合衆国で設立された航空会社で、2つの異なる時代に存在しました。初代ONAは1950年に設立され、チャーター便を中心に事業を展開しましたが、1978年に会社を清算しました。その後、1977年に設立されたユナイテッド・エア・キャリーズがONAの商号を引き継ぎましたが、1986年に倒産しました。ここでは、ONAの歴史を詳しく見ていきましょう。

初代ONAの歴史

初代ONAは、1950年6月に旅客と貨物の両方を扱うチャーター便の航空会社として設立されました。当初は5機のダグラスDC-6を使用し、ニューヨークのアイドルワイルド空港（現在のジョン・F・ケネディ国際空港）をハブ空港としていました。主な業務は、米軍兵士を東海岸からヨーロッパへ輸送することでした。また、ONAはダグラスDC-7貨物機も保有していました。

1964年から1965年にかけて、ONAは連邦倒産法第11章を申請し、一時的に運航を停止しました。しかし、1965年10月には運航を再開し、同時にダグラスDC-8を導入しました。これにより、ONAの運航範囲はカリブ海、ヨーロッパ、インドへと拡大しました。1968年からは11機のロッキードL-188貨物機を取得し、大西洋横断路線にもDC-8を投入し始めました。その後、L-188はマクドネル・ダグラスDC-9に置き換えられ、1973年には2機のマクドネル・ダグラスDC-10を購入しました。

しかし、規制緩和が進んだ1978年に、ONAは会社を清算することを決定し、同年10月に運航を終了しました。

2代目ONAの歴史

2代目ONAは、1977年7月21日に創業したユナイテッド・エア・キャリーズが、初代ONAの商号を引き継ぐ形で誕生しました。1980年から旅客と貨物を扱うチャーター会社として運航を開始しました。1982年には、ニューヨーク-パリ間の定期便を運航するために、パンアメリカン航空からナショナル航空の商号を購入しました。しかし、チャーター便は運航されたものの、定期便の運航は実現しませんでした。2代目ONAは1985年12月に財政難から運航を停止し、翌年5月に倒産しました。

保有機材

初代ONAが保有していた主な機材は以下の通りです。

ダグラスDC-6
ダグラスDC-7F
ダグラスDC-8-21
ダグラスDC-8-31
ダグラスDC-8-33
ダグラスDC-8-33F
ダグラスDC-8-52
ダグラスDC-8-55
ダグラスDC-8-55F
ダグラスDC-8-61F
ダグラスDC-8-61CF
ダグラスDC-8-63CF
マクドネル・ダグラスDC-9-32CF
マクドネル・ダグラスDC-9-33CF
マクドネル・ダグラスDC-10

航空事故

ONAの歴史において、いくつかの航空事故が発生しています。

1951年11月7日: オークランド国際空港を離陸した訓練機（ダグラスC-54D-10-DC）が、同様に訓練を行っていたカリフォルニア・イースタン航空機と空中衝突しました。ONA機は墜落し、3人が死亡しました。
1961年6月20日: オークランド国際空港で、ダグラスDC-7（N312A）がロッキードコンステレーション（N5595A）と地上衝突しました。
1961年9月26日: ノーフォークへの着陸進入中に、ダグラスDC-7（N317A）が油圧トラブルに見舞われました。機体は滑走路を越えて着陸しましたが、乗員5人は全員無事でした。
1970年5月2日: ONAが運航していたALMアンティリアン航空980便（マクドネル・ダグラスDC-9）が、プリンセス・ジュリアナ国際空港への着陸時に数度にわたり着陸復航し、燃料不足でカリブ海に不時着水しました。乗員乗客63人中23人が死亡しました。
1975年11月12日: ジョン・F・ケネディ国際空港からサウジアラビアへ向かう予定だったONA032便（マクドネル・ダグラスDC-10）が、離陸滑走中にバードストライクに見舞われ、離陸を中止しました。機体は誘導路との交差点で停止し、乗員乗客139人は全員無事でした。
1976年1月2日: ONAが運航していたサウジアラビア航空5130便（N1031F）が、エセンボーア国際空港への着陸時、滑走路の手前に接地しました。機体は損傷し、火災も発生しましたが、乗員乗客377人は全員無事でした。
1977年3月4日: パリ＝シャルル・ド・ゴール空港からディオリ・アマニ国際空港へ向かっていたダグラスDC-8-63CF（N8635）が、アマニ空港の滑走路09付近に墜落し、乗員4人中2人が死亡しました。

ONAは、その歴史の中で様々な困難を経験しましたが、チャーター便市場において重要な役割を果たした航空会社でした。

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