オープンフィンガーグローブ

オープンフィンガーグローブとは、手の甲、拳や手首を保護しながらも、各指が露出している特別な手袋です。この構造により、手のひらの感覚を維持しながら物を掴んだり、操作をしたりすることが可能です。主に総合格闘技（MMA）やファッション、各種スポーツにおいて利用されており、用途に応じて様々なデザインがあります。

歴史

オープンフィンガーグローブは1889年に、その先駆けとなる発言が見られました。柔道の創始者・嘉納治五郎は、柔道における実践的な技術とその教育的価値について語り、手袋のような道具を用いた「乱取り」の仮説を立てました。柔道家の前田光世からの手紙を受けた薄田斬雲は、これに触発され、柔道における新しい練習道具の必要性を論じ雑誌に投稿しました。この内容が後に単行本としてまとめられ、オープンフィンガーグローブへの道が開かれました。

1927年、東京帝国大学の唐手研究会によって剣道の籠手を基にした防具付き空手が製作され、これがオープンフィンガーグローブの原型となる防具が誕生する契機となりました。その後1945年以降、空手道においてもオープンフィンガーグローブが受け継がれ、1967年には極真会館も導入を開始します。1977年には佐山聡によって試作されたオープンフィンガーグローブがアントニオ猪木の試合でも使用され、その後も総合格闘技の公式な規則として位置づけられました。

特徴（用途別）

総合格闘技

国外では「MMAグローブ」や「グラップリンググローブ」として知られ、組技や関節技において掴みやすさを重視しています。5本指が出ているデザインは、打撃を受けた時にも拳を保護するパッドが施されており、使いやすさと安全性を両立しています。以前の総合格闘技では素手のみで試合が行われ、多くの怪我が報告されていましたが、このグローブの導入により事故のリスクを大幅に軽減しました。

種類

- 試合用グローブ: 階級によって4オンスから6オンスの重さのものが使用されます。
- スパーリング用グローブ: トレーニング中に拳を保護する目的で8オンスのものが適しています。
- グラップリング用グローブ: ハイブリッド形状で指の独立した動きが可能で、パッドが薄いために gripping 力を強化しています。

メーカー

有名なメーカーには、エバーラスト、ウイニング、イサミなどがあります。これらのメーカーはそれぞれ異なる特長を持つオープンフィンガーグローブを製造しており、選択肢が豊富です。

スポーツ

オープンフィンガーグローブはゴルフや自転車競技にも用いられ、グリップ力や手の保護に役立ちます。ただし、モータースポーツなどでは耐火性のグローブが推奨されており、オープンフィンガーグローブの使用が制限されることがあります。

ファッション

特に女性用の礼装用ドレスグローブの一種としても利用されており、指先が露出したデザインは注目されています。

オープンフィンガーグローブ