カウボーイ (スーパーマーケット)

カウボーイ (スーパーマーケット)

カウボーイは、かつて北海道を中心に展開していたスーパーマーケットチェーンです。元々は株式会社ナカノフーズが運営していましたが、前身となる初代法人株式会社カウボーイについても本記事では解説します。

概要

1973年、中野晃氏が資本金200万円で株式会社カネイチを設立したのが始まりです。1979年には、土日限定の食料品専門店「カウボーイ伏古店」をオープン。この開業を機に、会社名を株式会社カウボーイに変更しました。店名は、アメリカのショッピングセンターをイメージし、「型破りな怖い物知らず」、「日々挑戦者」というイメージを込めて名付けられました。

当初は肉類に特化して安価で販売していましたが、魚屋や八百屋からの出店依頼を受け、専門店が集まる形式へと発展。土日のみの営業から毎日営業へと変わり、酒、電気製品、衣料品など様々な商品を扱うようになりました。特に、酒、米、ガソリンなどの低価格販売で集客に成功しました。

1990年代には、モール型店舗の開発を開始。当時としては先駆け的な存在でした。開発資金は、メインバンクであった北海道拓殖銀行が不動産担保を元に積極的に融資していました。

経営悪化と終焉

1997年と1998年に、メインバンクであった北海道拓殖銀行と日本長期信用銀行が相次いで経営破綻。これが経営に悪影響を与えました。2000年代に入ると、イオンやイトーヨーカドーなどの大手スーパーが北海道に進出。カウボーイは、スーパー銭湯、割烹温泉、ガソリンスタンド、パークゴルフ場、葬祭業など、スーパーマーケットの枠を超えた多角的な事業展開で差別化を図りました。

2001年には、アルコール系自動車燃料の低価格販売を試みましたが、ガソリンと同等の課税対象となり撤退。BSE問題では食肉部門が大きな打撃を受けました。2004年には、上越店内に「割烹温泉 上越の湯」を開業しましたが、新潟県中越地震の影響を受けました。

小型スーパー事業では、ニチメンやサンドラッグと提携し、買収したドリームハウスとデイリーカウボーイを入店させたミニ複合施設を展開。東京など首都圏への進出も計画しましたが、銀行融資が不動産担保重視から収益性重視へと変化し、資金調達に苦しみました。その結果、2001年9月期には684億円あった連結売上高が、2006年9月期には492億円へと急落しました。

2006年12月、ゴールドマンサックス証券とスパークス証券の支援で経営再建が決まり、創業者は全ての役職を辞任。関連子会社の清算や譲渡、不採算店舗の閉鎖などが行われました。しかし、2008年3月のリーマン・ショックが経営再建に深刻な影響を与えました。同年7月には、トライアルカンパニーがゴールドマン・サックス証券の保有していた株式の一部を譲り受け、カウボーイはトライアルと業務提携。同年9月から、店舗の屋号を「トライアル」に変更しましたが、食品関連の調達はカウボーイが担当しました。

2010年1月21日、カウボーイはトライアルカンパニーに吸収合併され、法人としては解散しました。

ナカノフーズによる復活

カウボーイの社長を退任した中野氏は、祖業である業務用食肉卸売部門を存続させるため、2007年に食肉加工会社「ナカノフーズ」を設立。2008年には、ディスカウントショップ「アウトロー」を札幌市内で展開し、原点回帰を図りました。一時は3店舗を展開しましたが、2014年以降は本郷店のみの営業となりました。EC関連では、2020年に楽天市場で食肉加工品の販売を開始しました。

そして2021年7月、ナカノフーズが札幌市清田区にカウボーイの屋号で約13年ぶりに新規出店することが発表されました。惣菜・鮮魚・製茶・パンなど、様々な食品会社がテナントとして出店し、ナカノフーズも精肉店を出店。旧カウボーイ時代とは異なり、トライアルカンパニーとの資本関係はありません。この小売業への再進出は、新型コロナウイルスの影響で食肉卸部門の売上が半減したことがきっかけでした。

現在、カウボーイは、ナカノフーズによって一部店舗が運営され、その名を受け継いでいます。

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