カシオペヤ座ガンマ星

カシオペヤ座γ星（γ Cas）は、カシオペヤ座を形作るWの字の中央に位置する、肉眼でも容易に観測できる明るい恒星です。その特徴は、連星系であること、そして変光星であることです。

連星系としてのカシオペヤ座γ星

カシオペヤ座γ星は、主星であるγ星Aと、伴星であるγ星Bからなる連星系です。γ星Aはおよそ2等級の明るさを持つ変光星で、一方、γ星Bは10.9等級と暗い星です。この伴星は、約2秒離れた位置を203.5日周期でほぼ円形の軌道を描きながら主星の周りを公転しています。

さらに、この連星系から約50秒離れた位置には12.9等級のγ星C、21分離れた位置には5.6等級のγ星D（HD 5408）が存在します。γ星Cがこの連星系に属しているかどうかは不明ですが、γ星Dは固有運動の一致などから、物理的に関連があると考えられています。

特筆すべきは、γ星Aがガスと塵で構成された円盤状の構造に囲まれている点です。この円盤の半径は、恒星の半径の1.5倍から7.25倍にも及ぶとされています。

変光星としてのカシオペヤ座γ星

カシオペヤ座γ星Aは、カシオペヤ座γ型変光星の代表的な星として知られています。このタイプの変光星は、不規則な明るさの変化を示すことで知られています。カシオペヤ座γ星は、1937年には1.6等級まで増光し、カシオペヤ座で最も明るい星となった記録があります。一方で、最も暗い時には3.0等級まで減光します。この変光星としての特徴は、1866年にヴァチカン天文台のアンジェロ・セッキによって、スペクトル中に輝線が発見されたことで、恒星として初めて輝線が観測された歴史的な出来事です。

X線天体としてのカシオペヤ座γ星

カシオペヤ座γ星は、X線天体としても観測されています。これは、連星系における物質の相互作用や、高温のガス円盤の存在を示唆しています。

名称の由来

γ Cassiopeiae、略称γ Casとして知られるこの星には、アラビア語やラテン語に由来する一般的な名称はありません。しかし、アメリカでは、宇宙飛行士ガス・グリソムのミドルネーム「Ivan」の綴りを逆にした「Navi」という名前で知られています。この名前は、1967年にアポロ1号の予備飛行士らとグリフィス天文台長によって、事故で亡くなったグリソムを偲んで名付けられました。また、中国語では「鞭」を意味する語（策[cè]）から「ツィー(Tsih、Cih)」と呼ばれることがあります。

カシオペヤ座γ星の観測

カシオペヤ座γ星は、その明るさと特徴的な変光性から、アマチュア天文家にとっても観測対象として人気があります。日本変光星研究会やアメリカ変光星観測者協会（AAVSO）などの天文団体が観測データを公開しており、興味のある方はこれらの情報を参考に観測に挑戦してみるのも良いでしょう。

関連情報としては、明るい恒星の一覧やカシオペヤ座の恒星の一覧などを参照することで、より深くカシオペヤ座γ星についての理解を深めることができます。

外部リンク

• - Gamma Cassiopeiae and the Be Stars - AAVSO （英語）
• - 日本変光星研究会のカシオペヤ座γ星の星図 その1
• - 日本変光星研究会のカシオペヤ座γ星の星図 その2

これらの星図は、本来カシオペヤ座ρ星用に作成されたものですが、カシオペヤ座γ星およびその比較星も掲載されているため、観測に役立てることができます。

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