カシン型駆逐艦

カシン型駆逐艦

カシン型駆逐艦（英: Kashin class destroyer）は、ソビエト連邦海軍およびロシア海軍において運用される艦艇で、その正式名称は61型大型対潜艦（露: Большие противолодочные корабли проекта 61）です。NATOではこの艦級に特有のコードネームが与えられました。カシン型はソ連海軍初の新造ミサイル駆逐艦であり、全エンジンがガスタービンという技術革新を持っていた点が大きな特徴です。この艦級は1960年代から1970年代にかけて合計20隻が建造され、艦隊の主力として活動しました。1980年代末から1990年代には多くが退役しましたが、01090型として改修された艦は長期間運用され、2020年に退役するまでの間、長い艦齢を誇っていました。

設計の背景

カシン型駆逐艦の開発は、冷戦時代における軍事的な背景を受けたものです。当時、ソ連海軍は主に西側の空母機動部隊からの侵入を阻止する任務に従事していましたが、1960年代初めにはアメリカ海軍を含むNATO諸国が潜水艦発射弾道ミサイル搭載の原子力潜水艦の配備を進めており、これに対抗する必要がありました。こうした状況を受けて、新たな対潜および防空能力を持つ艦艇の設計が進められました。

初期の1956年に策定された戦術・技術規則に基づき、カシン型の開発が開始されました。1958年には技術案が承認され、1959年には第一艦「コムソモーレツ・ウクライーヌィ」の建造が始まりました。1961年にはソ連共産党の方針転換により、対水上・対地火力から対潜戦に重きを置くことが再確認され、本艦型そのものも新たな分類に移行しました。

設計の特徴

カシン型駆逐艦の際立った特徴は、全てのエンジンがガスタービンである点です。この採用により、当型は外洋型艦船としては初の試みとなりました。具体的には、4基のM8Eガスタービンエンジンを使い、これにより艦は高い機動性と速度を維持しています。しかし、当初の設計には燃費面での課題があり、特に低速時には効率が悪いとされました。

艦の構造は平甲板型を採用し、耐力のあるSHL-4高張力鋼などを使用して軽量化を図っています。それにより速力を確保することができました。

装備と武器システム

カシン型の主な任務は防空と対潜掩護であり、そのために様々なセンサーと武器システムが搭載されています。

センサー

• - レーダー: 元々はCバンドのMR-300「アンガラー」が2基搭載されていましたが、以降の艦はMR-500「クリーヴェル」に更新されました。また、ソナーにはMG-312「チタン」とMG-311「ヴィチェグダ」が搭載されていました。

武器システム

• - 防空用兵装: M-1「ヴォルナ」艦隊防空ミサイル・システムが主力となり、各艦はZIF-101発射機によって16発のミサイルを搭載できます。
• - 対潜兵器: 5連装533mm魚雷発射管と対潜ロケット砲（RBU-6000やRBU-1000）を備えています。

後の改良型（61M型・61MP型）では、艦対艦ミサイルの搭載も強化され、対潜ホバリングやヘリコプター甲板の設置などの改修が施されました。

同型艦の建造

ソ連海軍向けには、1959年から1973年にかけて20隻が建造されました。これらの艦は各種の改修を経て、異なるバージョンが存在します。特に61M型や61MP型では機能の強化が図られ、インド海軍においてはラージプート級として運用されるようになりました。

カシン型駆逐艦は長い歴史の中で多くの任務をこなし、その技術や設計は後世の艦艇に多大な影響を与え続けました。

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