カッサームロケット

カッサームロケットについて

カッサームロケット（アラビア語: صاروخ القسام）は、ハマースの軍事部門であるイッズッディーン・アル＝カッサーム旅団が使用しているロケット弾です。このロケットは、1935年にパレスチナの宗教家イッズッディーン・アル＝カッサームにその名を由来しています。彼は反英・反シオニストの活動で知られ、ロケットも彼の名を冠しています。

構造と特性

カッサームロケットは、比較的簡素な設計が特徴であり、弾頭、金属パイプ製の推進部、尾部には小型の安定翼が4枚配置されています。このロケットには誘導装置がなく、そのため精度は必然的に低くなっていますが、製造が容易でコストを抑えられるため、運用に適しています。調達にかかる費用は約800ドル程度で、材料は主にイスラエルからの奪取やエジプトからの密輸によって入手しています。その製造にはTNT火薬や化学肥料などの一般に入手可能な材料が用いられています。

タイプ

カッサームロケットにはいくつかの型式があり、射程や大きさが異なります。最も初期のものがカッサーム1で、射程が短く、多くは砂漠に着弾しています。次の型式であるカッサーム2は、スデロットを射程に収め、カッサーム3はアシュケロンに到達することができました。カッサーム4はさらに長距離を目指しましたが、開発段階にとどまっていました。

運用と影響

カッサームロケットの射程は、従来の迫撃砲よりは長く、運用が非常に簡便です。このため、迅速な展開や撤収が可能ですが、弾頭が小型で炸薬の量も限られているため、威力は低く抑えられています。そのため、破片効果弾頭を開発して威力を補っていますが、全体的な死傷者数は相対的に少なく、2001年から2008年の間に発射された約10,000発のうち、死者は28人、負傷者は600人強にとどまりました。このことは、カッサームロケットのもたらす影響の主な部分は人的・物的被害よりも、むしろ心理的な影響（PTSD）にあることを示唆しています。

また、カッサームロケットは主にガザ地区に近いスデロットやネゲヴ西部に向けて発射されることが多いですが、発射地点は市街地、特に病院、学校、モスクなどの近隣に位置しています。さらに、このロケットの発射装置はトラックで容易に移動できるため、イスラエル側での制圧は難航しています。イスラエル国防軍は、発射装置への圧力ではなく、早期警戒レーダーによって避難を促し、報復攻撃を行うことで対処しています。また、2011年以降はアイアンドームという迎撃システムを導入し、ロケットの被害を減少させることに成功しています。

関連項目

カッサームロケットに関連する構想として、M75（ロケット弾）があります。これは、イッズッディーン・アル＝カッサーム旅団が運用する長射程のロケット弾で、ファジル-5のコピーであるという説も存在しています。

以上がカッサームロケットに関する情報です。このロケットはその構造や運用方法から、さまざまな形で特異な位置を占めており、地域の安全保障に深く関わっている武器であると言えるでしょう。

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