カッシング (DD-376)

駆逐艦カッシング (USS Cushing, DD-376)

駆逐艦カッシングは、アメリカ海軍が保有したマハン級駆逐艦の一隻です。艦名は、南北戦争で活躍した海軍士官ウィリアム・B・カッシング中佐に由来し、その名を冠する艦としては3代目にあたります。

艦歴

1934年8月15日、ワシントン州のピュージェット・サウンド海軍造船所にて起工されたカッシングは、1935年12月31日にカッシング中佐の娘、キャサリン・A・カッシングによって命名、進水しました。翌1936年8月28日、E・T・ショート中佐を艦長として就役し、太平洋艦隊に配属されました。

就役後、カッシングは太平洋での任務に就きます。1937年には、世界一周飛行中に消息を絶った飛行家アメリア・イアハートの捜索活動に参加し、ハワイ諸島やハウランド島近海で捜索を行いました。その後、カリフォルニア州サンディエゴを拠点に、演習や戦術訓練、艦隊行動訓練に励みました。真珠湾での短期間の訓練やカリブ海での巡航を除き、カッシングは主に西海岸での訓練活動に従事しました。

1941年12月の日本軍による真珠湾攻撃時、カッシングはメア・アイランド海軍工廠でオーバーホール中でした。修理後、1941年12月17日にサンフランシスコを出港、1942年1月13日まで西海岸と真珠湾の間で船団護衛任務にあたります。その後、1月18日から2月2日にはミッドウェー島で対潜哨戒を実施しました。2月19日にはサンフランシスコに帰還し、第1任務部隊の護衛としてカリフォルニア沖での訓練と哨戒任務に従事しました。

1942年8月1日、カッシングはサンフランシスコを出港し、真珠湾での訓練演習の後、ガダルカナル島周辺での作戦活動に加わりました。ガダルカナル島への重要な補給部隊の護衛任務を継続的にこなし、10月26日の南太平洋海戦にも参加しました。この海戦で、アメリカ軍は物量で日本軍を圧倒し、戦局を優位に進めることに貢献しました。

カッシングは1942年11月12日にはガダルカナル島への輸送船団の護衛を担当し、第三次ソロモン海戦では13日夜、日本艦隊を迎え撃つ部隊の先頭に配置されました。敵艦隊との距離が3,000ヤードまで接近した際、3隻の日本駆逐艦を視認し、砲撃戦が開始されました。カッシングは艦中央部に数発の直撃弾を受け、出力が低下しましたが、敵艦への砲撃を継続しました。戦艦「比叡」に対して雷撃も試みましたが、命中には至りませんでした。その後、艦の火災が激しくなり、搭載弾薬に引火、爆発が発生し、02:30に「艦の放棄」が命じられました。カッシングの炎上する船体は、17:00にガダルカナル島から目撃され、サボ島南東約3,500ヤードの海域に沈没しました。

この戦闘で、カッシングの乗組員約70名が死亡または行方不明となり、救助された乗組員も多くが負傷しました。しかしながら、カッシングは任務部隊と共に日本艦隊による艦砲射撃を阻止し、ヘンダーソン飛行場を守り抜きました。カッシングの勇敢な戦いは、戦局に大きく貢献しました。

カッシングは、第二次世界大戦における戦功により、3個の従軍星章を受章しました。

参考文献

ラッセル・クレンシャウ著、岡部いさく訳・監修、岩重多四郎訳『ルンガ沖の閃光』（大日本絵画、2008年）ISBN 978-4-499-22973-9

関連項目

第二次世界大戦中のアメリカ海軍の喪失艦一覧

外部リンク

USS Cushing website
USS Cushing Reunion Association
history.navy.mil - ウェイバックマシン（2004年3月14日アーカイブ分）

この記事は、アメリカ合衆国政府の著作物であるDictionary of American Naval Fighting Shipsに由来する文章を含んでいます。*

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