カバーラップ二世

カバーラップ二世：種牡馬としての輝かしい功績

カバーラップ二世（競走名：セイカン）は、戦後の競走馬不足を解消するため、アメリカから輸入されたサラブレッドです。競走馬としては目立った活躍はなく、下級条件を2勝したのみで引退という結果に終わりました。しかし、その運命は引退後に大きく変わります。

1957年、吉田牧場で種牡馬入りしたカバーラップ二世は、1972年には年間29頭の種付けを行うなど、同牧場の中核を担う存在となりました。そして、彼の真価は、産駒たちの活躍によって証明されます。

2年目の産駒から活躍馬が現れ始めると、その後は数々の重賞勝ち馬を輩出。特に1960年代後半から1980年代にかけては、桜花賞優勝馬ワカクモ、皐月賞・有馬記念を制したリュウズキなど、八大競走優勝馬を多数輩出しました。これらの活躍により、カバーラップ二世は吉田牧場の全盛期を支えた功労馬としてその名を刻むことになります。

代表的な産駒には、以下の馬が挙げられます。

チトセハーバー: 1959年産。阪神3歳ステークス優勝。
リュウゲキ: 1960年産。朝日盃3歳ステークス優勝。
キョクトー: 1962年産。キヨフジ記念、平和賞、浦和桜花賞優勝。
ワカクモ: 1963年産。桜花賞、小倉記念優勝。
リュウズキ: 1964年産。皐月賞、有馬記念、函館記念（2回）、北海道3歳ステークス優勝。1967年度最優秀4歳牡馬。
ゴルドラップ: 1968年産。東京王冠賞優勝。
フクリュウヒカリ: 1969年産。デイリー杯3歳ステークス優勝。
アグネスビューチー: 1971年産。東京新聞杯優勝。
カシュウチカラ: 1973年産。天皇賞（春）、目黒記念（春、2回）、京成杯オータムハンデキャップ優勝。
プリテイキャスト: 1975年産。天皇賞（秋）、ダイヤモンドステークス優勝。1980年度最優秀5歳以上牝馬。

これらの産駒は、その多くが吉田牧場、もしくは吉田権三郎氏との繋がりを持つ生産者によって生産されたものでした。カバーラップ二世の成功は、生産者との緊密な連携があったことも要因の一つと言えるでしょう。

さらに、カバーラップ二世の血統は、後の名馬にも繋がって行きます。代表的なブルードメアサイアー産駒には、テンポイント（阪神3歳ステークス、天皇賞（春）、有馬記念など）、キングスポイント（中山大障害（春）、中山大障害（秋）など）がいます。

1978年に種牡馬を引退したカバーラップ二世は、1980年夏に老衰のため亡くなりました。その遺体は、孫であるテンポイントの墓のそばに埋葬されました。彼の死後も、プリテイキャストなど、活躍馬を輩出し続け、日本の競馬界に大きな足跡を残しました。

カバーラップ二世の父は、アメリカで活躍した競走馬で、ハリウッドゴールドカップなどの重賞を制覇しています。母は不出走でしたが、曾祖母にはセリマステークス優勝馬であるノートブックがいます。

競走馬としては成功を収めませんでしたが、種牡馬として類まれな才能を発揮したカバーラップ二世。その功績は、現在も多くの競馬ファンに記憶されています。そして、彼の血統は、現代の競走馬にも受け継がれ、日本の競馬史に大きな影響を与え続けています。

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