カプタインb

カプタインb：議論を呼ぶ居住可能惑星候補

カプタインbは、赤色準矮星であるカプタイン星を周回する系外惑星として、その存在が報告されました。2014年に視線速度法によって発見が発表されましたが、その実在性については現在も議論が続いています。この惑星は、ハビタブルゾーン内に位置する可能性があり、液体の水が存在しうる環境であることから、大きな注目を集めました。

発見の経緯

カプタインbは、ヨーロッパ南天天文台のラ・シヤ天文台に設置された高精度視線速度系外惑星探査装置（HARPS）による観測で発見されました。その後、ハワイのW・M・ケック天文台など、他の望遠鏡でも観測が行われ、その存在が検証されました。視線速度法とは、惑星の公転によって恒星がわずかに揺れ動く様子を、視線速度の変化として捉える観測手法です。

特徴

物理的特徴

もしカプタインbが実在する場合、スーパーアースに分類されると考えられます。推定される表面温度は205Kとされています。視線速度法による発見のため、真の質量は不明ですが、下限質量は地球の約4.8倍と測定されています。質量から推定される半径は約1.6地球半径であり、惑星の組成によっては岩石惑星である可能性が高いとされています。

主星：カプタイン星

カプタインbが周回するカプタイン星は、質量が太陽の約0.27倍、半径が太陽の約0.29倍の赤色準矮星です。表面温度は約3,550Kで、年齢は約110億歳と推定されており、太陽系の約46億歳よりもかなり古い星です。見かけの等級は8.85等と暗いため、肉眼での観測は困難ですが、高性能の双眼鏡を使用すれば観測できる可能性があります。

居住可能性

カプタインbは、カプタイン星のハビタブルゾーン内を公転していると考えられています。この領域では、惑星の環境と大気の特性によっては、表面に液体の水が存在する可能性があります。カプタインbの半径は1.2〜1.6地球半径と推定されており、岩石惑星である可能性が高いです。カプタイン星は、太陽の約4分の1の質量を持つ赤色準矮星であるため、主系列星としての寿命は1,000〜2,000億年と、太陽の約100億年の寿命よりも10〜20倍も長いとされています。カプタイン星は115億年前に形成されたとされており、もしカプタインbが存在するのであれば、潜在的に居住可能な惑星の中で最も古い惑星となる可能性を秘めています。

実在性に関する議論

カプタインbの実在性については、発見当初から疑問が呈されています。2015年には、観測された視線速度のシグナルが惑星によるものではなく、恒星活動に起因するものであるとする報告が発表されました。この報告に対しては、発見を報告した研究チームから反論が出されています。2020年現在、太陽系外惑星エンサイクロペディアでは、カプタインbの現状は「Controversial（論争中）」とされており、NASA Exoplanet Archiveでは、発見報告後に掲載されたものの、疑義を呈する論文発表を受けて削除された状態にあります。このように、カプタインbの存在は現在も議論の対象となっており、今後の観測や研究によって、その真の姿が明らかになることが期待されています。

関連項目

• - 惑星の居住可能性
• - 居住するのに適した太陽系外惑星の一覧

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