カリスマ・レコード

カリスマ・レコード：革新的な音楽を世界へ届けた伝説のレーベル

カリスマ・レコード（Charisma Records）は、音楽ジャーナリストであったトニー・ストラットン・スミスによって1969年にイギリスで設立されたレコードレーベルです。彼はそれ以前に、ナイス、ボンゾ・ドッグ・バンド、ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーターといった革新的なロックバンドのマネージャーを務めていました。ゲイル・コルソンがレーベルマネージャー兼共同マネージング・ディレクターとして運営を支えました。

プログレッシブ・ロックの隆盛とカリスマの貢献

カリスマ・レコードは、ジェネシス、ピーター・ガブリエル、ジュリアン・レノン、モンティ・パイソンなど、数々の成功したミュージシャンを輩出しました。特にプログレッシブ・ロックの分野において、その存在感は際立っており、ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーターのデビューアルバム『ザ・リースト・ウィ・キャン・ドゥ・イズ・ウェイヴ・トゥ・イーチ・アザー』は、レーベル初のリリースとして歴史に名を刻んでいます。トニー・ストラットン・スミスは、当初アルバムのリリースに難航したものの、自らレーベルを立ち上げ、世に送り出すことを決意しました。

視覚的な魅力とレーベルの個性

カリスマ・レコードの初期の英国レーベルは、独特の「ピンク・スクロール」デザインで知られていました。その後、ジョン・テニエル卿が描いたマッド・ハッターのロゴ（1972年採用）は、レーベルのアイデンティティを象徴するものとなり、『不思議の国のアリス』のイメージと相まって、すぐに人々に認識されるようになりました。これらの特徴的なアートワークの多くは、ポール・ホワイトヘッドによって制作されました。

多様な才能の発掘と育成

カリスマ・レコードは、ナイス、リンディスファーン、アラン・ハル、ホークウインド、アラン・パーソンズ・プロジェクト、クリフォード・T・ワード、ストリング・ドリヴン・シング、ジャック・ザ・ラッド、オーディエンス、ヴィヴィアン・スタンシャル、ブランドX、サー・ジョン・ベッチェマン、マルコム・マクラーレン、アフレイド・オブ・マイスなど、幅広いジャンルのアーティストを擁していました。1970年代には、ピーター・ハミル、トニー・バンクス、スティーヴ・ハケットらのソロアルバムもリリースしています。

レーベルの変遷と現在

ゲイル・コルソンは1970年代後半にカリスマ・レコードを離れ、自身のマネージメント会社ゲイルフォースを設立しました。1983年、カリスマ・レコードはヴァージン・レコードに買収され、1986年にヴァージンに吸収されるまで運営を続けました。その後、1992年にヴァージンがEMIに買収された際、カリスマの名前を引き継いだ新しいレーベルが1990年から1992年の間運営されましたが、オリジナルとは関係のないものでした。カリスマ・レコードの音源の一部は、EMIレーベルから再発されています。イギリスでは、2007年にEMIのエンジェル・レコードによってレーベルが復活しました。EMIのユニバーサルミュージックグループによる買収に伴い、カリスマはヴァージン・レコードに戻りました。

流通戦略とレーベルの拡大

カリスマ・レコードは当初、イギリスではB&Cレコードを通じて製造・流通されていました。1970年代半ばから後半にかけては、ヨーロッパでの販売はフォノグラム社が担当しました。アメリカとカナダでは、当初、インパルス!レコード、プローブ・レコード、ダンヒル・レコードといった他のレーベルにライセンスされていました。1971年にはブッダ・レコードと販売契約を結び、アメリカでのアルバムリリースを開始。1973年からはアトランティック・レコードがアメリカでの配給を担当しました。その後、マーキュリー・レコードやアリスタ・レコードなど、様々なレーベルがカリスマのアーティストの作品をリリースしました。カナダでは、GRTおよびポリグラム・カナダが多くの作品を配給しました。

サブレーベル「プレ・レコード」の設立

1980年から1982年の間、カリスマ・レコードはニュー・ウェイヴとレゲエに特化したサブレーベル「プレ・レコード」を運営していました。スカーズ、プリンス・ファー・アイ、デルタ5、グレゴリー・アイザックス、モノクローム・セットなどが所属し、アメリカのラルフ・レコードからレジデンツとタキシードムーンのアルバムをライセンス販売しました。

コレクターを魅了する「ピンク・スクロール」

初期のカリスマ・レコードのアルバムは、オリジナル盤が非常に希少であり、コレクターの間で高い人気を誇っています。「ピンク・スクロール」ラベルは、1969年から1972年半ばまでイギリスで使用され、その後マッド・ハッター・ラベルに置き換えられました。アメリカでは、1973年後半から1974年前半にかけて、ブッダ・レコードが配給したリリース作品にも使用されました。

カリスマ・レコードは、その革新的な音楽性と独特なアートワークで、音楽史に確かな足跡を残しました。プログレッシブ・ロックの隆盛に貢献し、数々の才能あるアーティストを輩出したカリスマ・レコードの功績は、これからも語り継がれていくでしょう。

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