カレー (フランス)

カレーについて

カレー（Calais）は、フランス北部、パ＝ド＝カレー県に位置する都市です。ドーバー海峡の最も狭い部分に面しており、古くからイギリスとヨーロッパ大陸を結ぶ重要な地点として認識されてきました。この地理的な特性から、フェリー港や貿易港として発展を遂げましたが、近年では約40km離れたダンケルクにその役割を奪われつつあります。

地理

カレーは、ドーバー海峡が北海に接する出口に位置し、海峡の幅が最も狭くなる地点であるため、交通の要衝となっています。イングランドへの航路における重要な港として、長い間繁栄してきました。市街地の中心部や北側、西側は、いくつかの要塞によって守られており、歴史的な防御の重要性を示しています。

歴史

古代ローマ時代から、カレーはブリテン島への重要な中継地として栄えました。中世には、百年戦争中の1347年にイングランド軍によって占領され、長期間にわたる包囲戦の末に陥落しました。この際、サン・ピエールと他の5人の市民がイングランド王エドワード3世に自ら出頭し、他の市民を救ったという逸話は、ロダンの彫刻作品『カレーの市民』の題材となっています。

その後、フランス軍が優勢となり、百年戦争でのイングランド軍の敗北を受けて、1453年以降カレーは大陸における唯一のイングランド領となり、下院に議員を送っていました。1558年には、フランス軍によって奪還され、再びフランス領となりました。ユグノー戦争の末期には一時的にスペインに占領されることもありましたが、最終的にはフランスに返還されました。

第一次世界大戦と第二次世界大戦では、カレーは戦場となり、市街地は大きな被害を受けました。特に第二次世界大戦では、ドイツ軍のフランス侵攻の際、カレーは包囲戦の舞台となりました。これは、要衝であるカレーにドイツ軍を引きつけ、ダンケルクからの連合国軍の撤退を支援するというダイナモ作戦の戦略的な役割も担っていました。連合国軍が反撃を開始した後も、ドイツ軍はカレーを死守し、ナチス・ドイツの降伏直前まで占領が続きました。

近年では、2015年にカレー市の市有地に大規模な難民キャンプが設営されました。当初は数百人規模であった難民の数は、イギリスへの密入国を目指す中東やアフリカからの難民や移民の増加により、3,500人に膨れ上がりました。この難民キャンプは「ジャングル」と呼ばれ、不衛生な環境と食料不足が問題視されています。

スポーツ

カレーには、サッカークラブであるカレーRUFCが本拠地を置いています。2000年のフランス・カップでは、4部リーグに所属しながらも、2部リーグのカンヌ、1部リーグのストラスブール、ボルドーといった強豪を次々と破り、決勝まで進出するという快挙を成し遂げました。決勝では、ナントと対戦し、一時リードを奪ったものの、惜しくも敗れました。

姉妹都市

カレーは、以下の都市と姉妹都市提携を結んでいます。

デュースブルク（ドイツ）
ドーバー（イギリス）
リガ（ラトヴィア）
ヴィスマール（ドイツ）
ブライラ（ルーマニア）
バルデヨフ（スロバキア）
* ファンガ（マリ共和国）

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