カロ艇

駆逐艇（くちくてい）

駆逐艇は、大日本帝国陸軍が開発し運用した高速戦闘艇で、特に魚雷艇や潜水艦との戦闘を目的として設計されました。この艇は、別名を高速艇丙（こうそくていへい）やカロ艇（-てい）とも呼ばれ、陸軍船舶部隊の海上駆逐大隊に配備されました。

開発の背景

第一次世界大戦後、陸軍は上陸戦の準備として各種舟艇の整備を進めました。1920年代後期においては、上陸用舟艇の護衛や支援攻撃を目的とした装甲艇（AB艇）や、高速偵察艇（HB-K）、さらには連絡艇（HB-O）が開発され、実際の演習や日中戦争で使用され、その効果が認められました。

駆逐艇の原型となる高速艇丙は、1941年ごろから展開中の特種船や軍隊輸送船の護衛を目的として開発されました。試作艇は、旧式の航空機用エンジン（八九式800馬力発動機）を用いており、3基を搭載することで最大速度42ノットを達成しました。

太平洋戦争が始まると、連合国軍の魚雷艇が日本の小型舟艇に対して新たな脅威となり、これに対抗するため、従来の装甲艇や非武装の高速艇甲では十分ではなくなりました。そこで、高速艇丙の設計を一部変更し、高速戦闘艇としての機能が追加されました。

製造と装備

1943年3月、試作1号艇が横浜ヨット工作所で起工され、8月には完成しました。その後の試作を経て、改良版が1944年に量産が開始されることとなります。第一型式では、20mm機関砲2門や爆雷投下装置、陸軍独自の簡易対潜ソナー「ら号装置」などが装備されました。第二型式以降では、速射砲（四式三十七粍舟艇砲）や爆雷を搭載し、一般的に火力が強化されました。

実戦での運用

駆逐艇は、1943年12月に編成された海上駆逐第1大隊に配備され、各戦線に分遣されていきました。フィリピン戦や沖縄戦においては、実際に戦闘に参加しましたが、空襲などにより多くの損失も被りました。大隊の主力は日本海方面で活動し、海上輸送隊にも一部が配置される予定でしたが、それは実現しませんでした。

バリエーション

駆逐艇のバリエーションには、第一型式から第四型式までが存在しました。第一型式は約40隻が生産された主力艦であり、第二型式はエンジンを変更した形で約20隻が生産されました。第三型式や第四型式は試作段階で、実際には生産には至りませんでした。

このように、駆逐艇は特殊な任務に特化した艦艇であり、当時の海軍力の一部を担いました。その設計や実戦での運用は日本陸軍の海戦における重要な要素となったのです。

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