カンタン駅

カンタン駅の概要

カンタン駅（タイ語: สถานีรถไฟกันตัง）は、タイ王国南部トラン県カンタン郡に位置する、タイ国有鉄道南本線カンタン支線の終着駅です。1913年4月1日に開業し、その歴史は100年を超えています。

かつては、駅構内に機回し線やセメント会社への専用線、そして蒸気機関車時代には欠かせなかった転車台が設置されていました。これは、カンタン支線の終着駅という性質上、列車の方向転換を行う必要があったためです。また、カンタン港から積み出される農畜産物の輸送拠点としても重要な役割を果たし、構内には多数の貨物側線が敷設されていました。

しかし、1960年代以降、農畜産物の輸送は自動車輸送へと移行し、構内の線路も最小限の側線を除いて撤去されました。現在は、クルンテープ駅（バンコク）との間に直通夜行快速列車が1往復運行するのみとなっています。その距離は866.13km、所要時間は16時間50分と長旅になります。

カンタン駅の歴史

タイ国有鉄道南本線の本格的な工事は、北側のペッチャブリー駅、南側のソンクラー駅とカンタン駅の3ヶ所から開始されました。カンタン駅は、南側の拠点として重要な役割を担い、鉄道建設に必要な資材や車両の組み立てを行うための臨時工場が建設されました。これは、建設資材の陸揚げを容易にするため、カンタン港に近いこの駅が選ばれたと推測されます。

1913年4月1日には、カンタン駅とフアイヨート駅間が開業し、翌年の1月1日にはトゥンソン分岐駅まで延伸開業したことで、カンタン支線は全線開通しました。

カンタン駅の構造

駅の構造は、単式ホーム1面1線の地上駅です。線路は棒線駅ではなく、側線を有しており、駅舎はホームに面して建てられています。駅舎は特徴的な黄色に近い辛子色で塗装されており、その色合いは周囲の風景に調和しつつも存在感を放っています。

カンタン駅の沿革

1913年4月1日：カンタン駅 - フアイヨート駅間(49.26km)が開業
1914年1月1日：フアイヨート駅 - トゥンソン分岐駅間(43.74km)が開業

参考文献

岡本和之『タイ鉄道旅行』（めこん、1993年）ISBN 4-8396-0080-5
杉本聖一『魅惑のタイ鉄道』（玉川新聞社、2000年）ISBN 4-924882-29-1
柿崎一郎『王国の鉄路 タイ鉄道の歴史』（京都大学学術出版会、2010年）ISBN 978-4-87698-848-8
渡邉乙弘『タイ国鉄4000キロの旅』（文芸社、2013年）ISBN 978-4-286-13041-5

関連項目

タイの鉄道駅一覧
タイ国有鉄道南本線

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