機回し線

機回し線：機関車の付け替えを可能にする線路

鉄道駅や車両基地では、機関車の向きを変えるための特別な線路が用いられることがあります。それが「機回し線」です。この記事では、機回し線について詳しく解説します。

機回し線の役割と構造

機回し線は、機関車を牽引する列車が到着した後に、進行方向を逆転させるために機関車を付け替える際に使用されます。列車の最後尾に連結された機関車を、列車の先頭に移動させるための線路です。そのため、機回し線は通常、両端が本線や他の線路につながっており、分岐器を使って機関車がスムーズに移動できるように設計されています。

機回し線の構造は様々です。プラットホームに面していない線路であることもあれば、既存の着発線の一部を利用する場合もあります。後者の場合は、プラットホームに面した線路で機回し作業が行われることになります。

機回し線が不要なケース

機回し線は、すべての列車に必要というわけではありません。電車のように、各車両に動力装置が搭載されている電車の場合は、運転手が反対側の運転席へ移動するだけで済みますので、機回し線は不要です。

また、機関車を用いた列車であっても、プッシュプル方式を採用していれば機回し線は不要です。プッシュプル方式とは、列車の先頭と後尾の両方に機関車、もしくは運転席付きの制御車を配置し、どちらの運転席からも機関車を制御できるようにした方式です。これにより、機関車の向きを変える必要がなくなります。

さらに、推進運転を行う列車や、到着した機関車牽引列車の反対側に別の機関車をつないで車両基地へ回送するような運用方法の場合も、機回し線は不要です。

機回し線の設置例と減少傾向

かつては多くの駅に機回し線が設置されていましたが、近年は減少傾向にあります。これは、客車列車の減少や、電車の普及、プッシュプル方式の採用などによるものです。

現在、機回し線が残っている駅でも、待避線や留置線として他の用途に転用されているケースがほとんどです。以下に、いくつかの設置例を示します。

函館本線函館駅
東北本線盛岡駅（現在は不使用）
奥羽本線・津軽線・青い森鉄道線青森駅
中央本線八王子駅
山陽本線下関駅、岩国駅、広島駅、八本松駅、東福山駅
山口線新山口駅・津和野駅
予讃線・高徳線高松駅
鹿児島本線門司港駅
三角線三角駅
播但線姫路駅（高架化により消滅）
津軽[[鉄道]]津軽中里駅
真岡鐵道真岡線真岡駅・茂木駅
* 大井川鐵道大井川本線新金谷駅・千頭駅

これらの例からもわかるように、機回し線は鉄道の歴史とともに変化し、その存在意義も変化していることがわかります。

まとめ

機回し線は、機関車牽引列車において機関車の向きを変えるために必要な線路です。しかし、電車の普及やプッシュプル方式の採用、客車列車の減少などにより、その需要は減少傾向にあります。現在では、残存する機回し線も、他の用途に転用されているケースが多いです。鉄道の技術革新と運用方法の変化が、機回し線の存在に大きな影響を与えていると言えるでしょう。

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