カントリーサイン

カントリーサインとは

カントリーサインとは、主に都府県境や市町村境を跨ぐ道路沿いに設置されている案内標識やイラスト看板の通称です。旅の道中でふと目にする、その土地ならではのデザインは、ドライバーや旅行者にとってちょっとした楽しみの一つとなっています。

定義

道路標識としての正式名称は、「市町村案内標識（標識形式 101）」および「都府県案内標識（標識形式 102）」です。これらは「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」によって定められています。

元々「カントリーサイン」という名称は、北海道内の市町村境に設置された、そのまちのシンボルと一体になった市町村案内標識を指していました。しかし近年では、行政境界に設置されている標識や看板を総称してカントリーサインと呼ぶことが一般的になっています。

道路標識としては、都府県市町村の境界となる道路上に設置され、行政地域の名称を示すものです。必要に応じて、自治体名と共に都府県章や市町村章が記されることもあります。ただし、地域のシンボルや名物を描いたものは、法律上は道路標識ではなく「看板」として扱われます。

カントリーサインの管理は道路管理事務所が行い、直轄国道は国土交通省、補助国道および都道府県市町村道は各管轄の自治体が設置を担当します。そのため、設置されるカントリーサインの種類は道路管理事務所に委ねられています。

地域ごとのカントリーサイン

北海道

北海道では、北方領土を除く179市町村すべてにイラストが描かれたカントリーサインが、国道、道道、市町村道沿いに設置されています。島嶼の町（奥尻町など）では、港にもカントリーサインが設置されています。

東北地方

青森県では、基本的に市町村章入りのカントリーサインが設置されています（風間浦村を除く）。

関東地方

関東地方では、市町村章入りのものが主流ですが、群馬県の一部や埼玉県の秩父地方などではイラスト入りのものも見られます。

中部地方

岐阜県、愛知県、静岡県では、市町村章入りのカントリーサインがほとんどです。長久手市では、古戦場にちなみ、火縄銃を撃つ武士のイラストが市道に設置されています。

近畿地方

京都府や兵庫県では市町村章入りが主流ですが、一部イラスト入りのものも存在します。三重県、滋賀県ではほぼ市町村章入り、大阪府では市町村章入りが主ですが、全ての市町村に設置されているわけではありません。和歌山県では市町村章入りのものも設置されていますが、文字のみのものや未設置の箇所も多く見られます。奈良県では、直轄国道は章入りですが、その他はほぼ文字のみとなっています。

その他地域

中国地方、四国地方、九州地方など、他の地域でも様々なデザインのカントリーサインが見られます。佐賀県と沖縄県では、国道・県道の大部分に市町村章入りのものが設置されています。熊本県と鹿児島県では、直轄国道では市町村章入りが主ですが、補助国道・県道では自治体名のみのものが多い傾向にあります。

高速道路のカントリーサイン

高速道路では、1978年頃から各都府県や市町村境にイラスト入りの境界案内標識（看板）の整備が進められました。それ以前は文字のみの標識が主流でしたが、各地域の名物を描いた標識が設置されるようになりました。しかし、平成の市町村合併で消滅した自治体のカントリーサインが撤去されたままになっている箇所も多く見られます。

現在では、新設された高速道路や老朽化に伴い交換された標識では、道路標識として定義されている文字のみ、または都府県境に限り都府県章の使用が一般的になっています。ただし、路線によってはイラストを新調する箇所もあり、一般道と同様に道路を管理する管轄事務所によって設置の有無が決定されています。

高速道路上のカントリーサインの図柄は、基本的に「一つの市町村につき1種類」ですが、同一市町村内で複数の高速道路が走る場合、開通時期の違いによって図柄が異なることがあります。

カントリーサインのない自治体

離島や、その他の理由によりカントリーサインが設置されていない自治体も存在します。

離島自治体

東京都：大島町、利島村、新島村、神津島村、三宅村、御蔵島村、八丈町、青ヶ島村、小笠原村
新潟県：佐渡市、粟島浦村
島根県：隠岐の島町、西ノ島町、海士町、知夫村
広島県：大崎上島町
香川県：直島町
愛媛県：上島町
長崎県：五島市、壱岐市、対馬市、小値賀町、新上五島町
大分県：姫島村
鹿児島県：屋久島町、喜界町、与論町、三島村、十島村
沖縄県：石垣市、宮古島市、久米島町、竹富町、与那国町、伊江村、渡嘉敷村、座間味村、粟国村、渡名喜村、南大東村、北大東村、伊平屋村、伊是名村、多良間村

その他

和歌山県：美浜町

カントリーサインを題材にした作品

水曜どうでしょう「212市町村カントリーサインの旅」、「十勝二十番勝負」（北海道テレビ放送）

カントリーサインは、単なる道路標識としてだけでなく、その土地の文化や魅力を伝える役割も担っています。旅の際には、カントリーサインに注目してみると、新たな発見があるかもしれません。

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