知夫村

知夫村（ちぶむら）：隠岐諸島の秘宝

知夫村は、島根県隠岐郡に属する、県内唯一の村です。隠岐諸島の最南端に位置し、有人島の知夫里島を中心に、神島、浅島など、風光明媚な無人島群によって構成されています。古代からの歴史と豊かな自然が息づく、魅力あふれる村です。

知夫村の概要

地名の由来

知夫里島の名前は、航海の神とされる道祖神「道触神（ちぶりのかみ）」に由来すると言われています。本土から隠岐へ渡る際の重要な港であり、航海の安全を祈願して道触神が祀られたことが、地名の起源とされています。

自然と景観

知夫村は、大山隠岐国立公園の一角を占めており、その豊かな自然は訪れる人々を魅了します。特に、以下の景勝地は必見です。

赤ハゲ山: 知夫里島の最高峰。全山が草に覆われ、放牧地として利用されています。山頂からは、島前カルデラや日本海を一望できます。
知夫赤壁: 高さ50〜200mに及ぶ、約1kmにわたる赤い岩壁。国の名勝天然記念物にも指定されており、その壮大な景観は圧巻です。

これらの自然景観は、隠岐ユネスコ世界ジオパークにも登録されており、地球のダイナミックな活動の痕跡を間近に感じることができます。

歴史と文化

古くから海上交通の要所として栄えた知夫村は、北前船の風待ち港としても知られています。伝統的な祭りや民謡も息づいており、豊かな文化に触れることができます。

天佐志比古命神社の例大祭: 2年に一度開催される例大祭では、中学生による芝居が奉納されます。
しげさ節、どっさり節: 知夫村に伝わる独特の民謡です。

知夫村の地理

知夫村は、隠岐諸島の中でも最も本州に近い場所に位置しています。北部の来居港からは、島前の各港や島後の西郷港、本土の七類港、境港を結ぶ定期船が発着しています。

地形

知夫里島は火山島であり、玄武岩質の溶岩で形成されています。西海岸には、知夫赤壁と呼ばれる巨大な赤い岩壁がそびえ立ち、独特の景観を創り出しています。

知夫村の地域

知夫村は、以下の7つの地区から構成されています。

1. 郡(こおり)地区: 村役場や小中学校、漁協など、村の中心的な施設が集まっています。天佐志比古命神社や荘楽寺などの文化財も豊富です。
2. 多沢(たたく)地区: 島内有数の漁港として発展しました。高齢者福祉施設や寺社があります。
3. 薄毛(うすげ)地区: 瀬戸内海式の景観が美しい地区。島津島にかかるお松橋や知夫里島灯台があります。
4. 大江(おおえ)地区: 郡地区とともに古くから栄えた地区。郵便局や診療所があります。
5. 仁夫(にぶ)地区: 肥沃な土地が広がる農業が盛んな地域。仁夫保健福祉館やホテル知夫の里があります。
6. 来居(くりい)地区: 西ノ島、中ノ島を望む港町。隠岐汽船の来居港があり、知夫里大橋がランドマークとなっています。
7. 古海(うるみ)地区: 村内一の船舶数を誇る漁業の集落。姫宮神社や古海お堂があります。

知夫村の自然

知夫村には、貴重な植物や動物が生息しています。

植物

ハマボウ: 隠岐では知夫村のみに分布する北限植物です。
トウテイラン: 環境省の絶滅危惧種Ⅱ類に指定されている植物です。

動物

タヌキ: 隠岐諸島で唯一、知夫里島に生息しています。

知夫村の歴史

知夫村は、古代から一島一村として続いています。

古代

『古事記』には「隠伎之三子島」として隠岐諸島が登場します。知夫村では、縄文時代の遺物も発見されています。

中世

吾妻鏡には、大宝時代には牧畑が開始されていたと記述があります。文覚上人が流罪となり、知夫里島に埋葬されたという伝承もあります。

近世

後醍醐天皇が隠岐に配流された際、知夫村に滞在しました。天佐志比古命神社には、後醍醐天皇が腰掛けたとされる石が残っています。

近代・現代

1904年に知夫村が発足。近年では、人口増加率が全国一位になるなど、注目を集めています。

知夫村の文化・暮らし

知夫村では、様々な催しや風習が受け継がれています。

主な催事

野だいこん祭り: 4月下旬開催
盆踊り: 8月13日〜16日開催
一宮神社例大祭: 2年に一度開催
さざえのつかみ取り: 8月上旬開催
皆一踊り: 旧暦8月15日に奉納される踊り

独特な風習

お大師参り: 弘法大師の命日に各お堂を巡る行事
十社参り: 手術の成功や回復を祈願する行事
蛇巻き: 藁で作った蛇を御神木に巻く行事
蘇民将来: 厄払いと幸福を祈る行事
地蔵さん担ぎ:

知夫村の観光スポット

赤ハゲ山
知夫赤壁
島津島
天佐志比古命神社（一宮神社）
松養寺
* 河井の湧水

まとめ

知夫村は、豊かな自然、歴史、文化が息づく魅力的な村です。隠岐諸島を訪れる際には、ぜひ足を運んでみてください。

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