カーネギー (競走馬)

カーネギー：凱旋門賞優勝馬から伝説の種牡馬へ

アイルランドで生まれ、フランスで競走馬としてのキャリアをスタートさせたカーネギー。アメリカの実業家アンドリュー・カーネギーにちなんだその名前にふさわしく、彼は輝かしい競走成績と種牡馬としての成功を収めた、まさに伝説的なサラブレッドです。

エリート街道から凱旋門賞制覇へ

カーネギーは、ヨーロッパを代表する種牡馬サドラーズウェルズを父に、1980年の凱旋門賞をコースレコードで制した名牝デトロワを母にもつ、まさに良血馬でした。ドバイの大馬主、ムハンマド・ビン＝ラーシド・アール＝マクトゥームに購買され、フランスの名伯楽アンドレ・ファーブル調教師の指導の下、キャリアを歩み始めます。

しかし、恵まれた環境とは裏腹に、脚部不安を抱えていたため、デビューは3歳と遅れました。デビュー戦は勝利したものの、その後2連敗。クラシック路線への挑戦は断念せざるを得ませんでしたが、夏になると急成長を見せ、Lペリーズ賞、G2ユジェーヌアダム賞、G2ニエル賞と3連勝。勢いに乗って挑んだ凱旋門賞では、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス優勝馬のキングスシアター、そして武豊騎乗のホワイトマズルら強豪を退け、見事優勝を飾りました。この勝利は、母デトロワに続く母仔二代での凱旋門賞制覇という歴史的快挙でもありました。

4歳時にもG1サンクルー大賞とG3フォワ賞を制するなど活躍を続けましたが、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス、そして凱旋門賞連覇を狙ったレースでは惜しくも敗退。ブリーダーズカップ・ターフ3着を最後に、競走馬としてのキャリアに幕を閉じました。通算成績は13戦7勝という輝かしいものでした。

シャトル種牡馬として、そしてブルードメアサイアーとしての成功

競走馬引退後、カーネギーは種牡馬として日本へ輸出されます。1996年はアロースタッドで繋養されましたが、翌年から社台スタリオンステーションへ移動。そして1997年からは、日本の種付けシーズン終了後に南半球（ニュージーランド）へ渡り、種牡馬生活を送る「シャトル種牡馬」となりました。2002年にはオーストラリアへ輸出され、本格的なシャトル種牡馬としての生活を送ることになります。

日本では、1999年に初年度産駒がデビュー。カーネギーダイアンが青葉賞を制するなど、一定の成功を収めたものの、日本のスピード競馬への適応には苦戦しました。しかし、オセアニアでは近親にオセアニアを代表する種牡馬ザビールを持つ血統背景が評価され、Carnegie Express（ローズヒルギニー、カンタベリーギニー）、Amalfi（ヴィクトリアダービー優勝馬）など、多くの活躍馬を輩出しました。

そして、カーネギーの真価が示されたのは、ブルードメアサイアーとしての活躍です。彼の娘を母に持つ馬たちは、数々のGI競走を制覇。中でもモーリスは安田記念、マイルチャンピオンシップ、香港マイル、チャンピオンズマイル、天皇賞（秋）、香港カップ、ダービー卿チャレンジトロフィーと、実に7つのGIタイトルを獲得。カーネギーの血は、現代競馬においても大きな影響を与え続けているのです。

2012年8月9日、カーネギーは息を引き取りましたが、その偉大な功績は、多くの産駒、そしてその子孫たちによって、永遠に語り継がれていくでしょう。

血統背景と活躍馬

カーネギーの血統は、父サドラーズウェルズ、母デトロワという錚々たる名馬を受け継いでいます。さらに、8歳年上の半兄レイクエリー（イギリスG3セントサイモンステークス優勝馬）、4歳年上の半兄アンティサール（フランスG2ギョーム・ドルナーノ賞優勝馬）、伯母ダータル（イギリスG1チェヴァリーパークステークス優勝馬）、従兄フィラーゴ（オークツリー招待ステークス優勝馬）など、近親にも数々の活躍馬がいます。

主な産駒としては、前述のモーリスに加え、カーネギーダイアン（青葉賞）、ホオキパウェーブ（オールカマー）、マヤノスターダム（阪神ジャンプステークス）、Amalfi（ヴィクトリアダービー）、Carnegie Express（カンタベリーギニー、ローズヒルギニー）、Perlin（ドゥームベンカップ、アンダーウッドステークス）、Tuesday Joy（クールモアクラシック）などが挙げられます。

カーネギーは、競走馬としての華々しい活躍だけでなく、種牡馬、そしてブルードメアサイアーとしての成功によって、競馬史にその名を刻んだ偉大なサラブレッドと言えるでしょう。

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