カーフスライサー

カーフスライサーとは

カーフスライサーは、格闘技において使用される足関節技の一種であり、特に相手の脹脛（ふくらはぎ）に圧力を加えることで膝関節にダメージを与えることを目的としています。別名としてレッグスライサーや膝固めとも呼ばれます。

概要

この技は、自分の前腕や脛、足首、または相手の脛や足首を使って、相手の脹脛を圧迫し、脚を折り曲げることで膝関節に強いストレスを与えます。主にサンボ、ブラジリアン柔術、総合格闘技（MMA）などの格闘技で使用されます。

柔道においては、1925年に大日本武徳会と講道館が審判規定を統一した際、禁止技となりました。また、ブラジリアン柔術の国際ブラジリアン柔術連盟（IBJJF）では、18歳以下のジュブナイルや、紫帯、青帯、白帯の選手に対しては禁止されています。国際柔術連盟（JJIF）でも16歳以下では反則となります。「膝固め」という別名がありますが、国際柔道連盟が定める膝固めとは異なる技です。

バリエーション

カーフスライサーには、さまざまなバリエーションが存在します。

リバース・アキレス・ホールド（裏アキレス腱固め）からの派生：相手の膝裏に自分の前腕を当て、肩などで相手の脛や足首を押さえつけ、脚を折り曲げる。
膝挫足：腹ばいの相手の背を抑え、足首を掴み、相手の膝裏に自分の脛を当てて、相手の足首を腹で押して脚を折り曲げる。
足巻込：逆蟹挟の状態から膝挫足に移行する。
蟹緘：蟹挟のように相手に飛びつき、逆回転して膝挫足に移行する。
足詰：うつ伏せの相手の膝裏に足首を当て、脚を折り曲げる。
テコ入れ膝固め：うつ伏せの相手の股間から足を入れて膝裏に足首を当て、足首を引いて脚を折り曲げる。
カーフ・クラッシャー：相手の膝裏に脚を絡ませ、小内巻込を仕掛け、テコ入れ膝固めに移行する。
股裂き膝裏固め：テコ入れ膝固めから相手が逃れようとしても、そのままカーフスライサーをかけ続ける。
回転足4の字固め：前転して両脚を4の字に組み、股裂き膝裏固めを極める。
ニーロック：相手の膝裏に前腕を当て、両脚で相手の脚を挟み込む。
トランキーロ・レッグロック：立ち姿勢の相手の脚を抱え込み倒し、ニーロックを極める。
リバース・インディアン・デスロック：足詰の体勢から片脚を相手の両脚の中にこじ入れ、カーフスライサーを極める。

試合での実例

1988年8月13日、UWF真夏の異種格闘技戦における前田日明対ジェラルド・ゴルドー戦では、ゴルドーが前田の右ハイキックをキャッチした後にカーフスライサーを極めました。公式発表は「裏アキレス腱固め」でしたが、実際にはカーフスライサーであったとされています。

その他

カーフスライサーは、プロレスラーのオリジナル技としても存在し、近年では総合格闘技の試合でも見られる機会が増えています。しかし、危険な技であるため、使用が禁止されている場合や、年齢や帯によって制限されている場合があります。

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