カール・ヴォルフ

カール・フリードリヒ・オットー・ヴォルフ：ナチス親衛隊の要人

カール・フリードリヒ・オットー・ヴォルフ（1900年5月13日 - 1984年7月17日）は、ナチス親衛隊（SS）の高級幹部であり、最終階級は親衛隊大将でした。親衛隊全国指導者ハインリヒ・ヒムラーの副官として、親衛隊内で大きな影響力を持っていました。

生涯

ダルムシュタット（現在のヘッセン州）で裁判官の息子として生まれました。第一次世界大戦に従軍し、二級鉄十字章を受章。戦後、銀行員や広告会社経営者を経て、1931年にナチス党に入党、親衛隊に入隊しました。

親衛隊での台頭

ヴォルフは急速に親衛隊内で昇進し、1933年にはヒムラーの個人幕僚部の長官に任命されました。これにより、親衛隊の重要書類にアクセスできる立場となり、ヒムラー、ラインハルト・ハイドリヒに次ぐ権力者と見なされるようになりました。しかし、1942年頃からヒムラーとの関係が悪化し、イタリアへ派遣されることになります。

イタリアでの活動

1943年、ヴォルフはイタリア地域の親衛隊及び警察高級指導者に任命され、イタリア社会共和国で活動しました。この間、ローマ教皇ピウス12世の拉致命令を拒否したという逸話も残っています。1945年、連合軍のイタリア進攻に伴い、ヴォルフはドイツ軍の降伏交渉を行い、アメリカ軍に逮捕されました。

戦後

戦後、ヴォルフはニュルンベルク裁判で証拠を提供するなど協力的な姿勢を示しましたが、後に西ドイツ政府によって起訴され、有罪判決を受けました。釈放後、再び広告会社を経営する傍ら、CIAに協力していたとも言われています。1962年には、アイヒマン裁判での証言をきっかけに再起訴され、再び収監されました。1969年に健康状態を理由に釈放され、1984年にローゼンハイムで亡くなりました。

キャリア

1933年1月30日、親衛隊大尉
1933年11月9日、親衛隊少佐
1934年1月30日、親衛隊中佐
1934年4月20日、親衛隊大佐
1934年7月4日、親衛隊上級大佐
1935年11月9日、親衛隊少将
1937年1月30日、親衛隊中将
1940年5月3日、武装親衛隊中将
1942年1月30日、親衛隊大将及び武装親衛隊大将

叙勲

一級鉄十字章（1914年版）
二級鉄十字章（1914年版）
名誉十字章前線戦士章
黄金ナチ党員バッジ
ナチ党勤続章
親衛隊勤続章
一級剣付き戦功十字章
二級剣付き戦功十字章
一級鉄十字章略章（1939年版）
二級鉄十字章略章（1939年版）
黄金ドイツ十字章（1944年12月9日）
親衛隊全国指導者名誉長剣
親衛隊名誉リング

ヴォルフの生涯は、ナチス体制の中枢にいた人物の複雑な軌跡を示すとともに、戦後ドイツにおけるナチズムの克服という課題を浮き彫りにしています。

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