ガイウス・カッリナス

ガイウス・カッリナスは、共和政ローマ末期に活躍した軍人であり政治家です。生没年は不明ですが、ウンブリアまたはエトルリア出身と考えられています。彼の父はマリウス率いる民衆派の指導者であり、スッラの閥族派によって追放されたという背景を持っています。

カッリナスは、その縁からカエサルの下で軍人としてのキャリアをスタートさせ、カエサル死後はオクタウィアヌス派に属しました。しかし、軍人としての才能は凡庸であったようで、カエサルの生前にヒスパニアでセクストゥス・ポンペイウスとグナエウス・ポンペイウス・ミノル討伐に従事したものの、目立った成果を上げられず更迭されています。その一方で、独裁官に就任したカエサルの副官を務めていたことから、事務処理や交渉能力に長けていたと考えられています。

紀元前43年11月、カッリナスはアントニウス派のウェンティディウスと共に補充執政官に就任しました。これは、本来の紀元前43年の執政官であったヒルティウスとパンサが戦死したことを受け、オクタウィアヌスとクィントゥス・ペディウスが補充執政官となっていたものの、第2回三頭政治の開始と同時に2人が退任したため、残りの期間を埋める形で就任したものです。この人事は、アントニウスとオクタウィアヌスが自分たちの派閥の人物にインペリウム（軍事指揮権）を与えることを目的としたものであったと考えられています。

カッリナスはその後もオクタウィアヌス派として忠実に軍務に従事し、ガリア、ヒスパニア、シチリアと転戦しました。そして、紀元前28年5月30日には凱旋式を挙行しています。

参考文献
ロナルド・サイム『ローマ革命(上)』逸身喜一郎・小池和子・上野慎也・小林薫・兼利琢也・小池登訳、岩波書店、2013年
ロナルド・サイム『ローマ革命(下)』逸身喜一郎・小池和子・上野慎也・小林薫・兼利琢也・小池登訳、岩波書店、2013年
アントニー・エヴァリット『アウグストゥス　ローマ帝国の始まり』伊藤茂訳、白水社、2013年
フィリップ・マティザック『古代ローマ歴代誌』本村凌二監修、東眞理子訳、創元社、2004年

関連項目
アッピアノス『内乱記』
イタリア本土 (古代ローマ)
* 共和政ローマ執政官一覧

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